スカーレット

大阪編では、なくてはならない存在だと思いました。彼の関西弁は、当たり前ながらもしっくりとはまっており、場を和ませてくれるチカラを持っていました。女中仕事で疲れたきみちゃんをほっと緩ませてくれるありがたいマスターを好演していました。

存在感のとっても薄い役柄でしたね。あれだけ毎日、お笑いネタがチョコチョコと仕込まれてるストーリーだったのに、本職のお笑い芸人を登場させておいて、印象に残るセリフ一つ喋らせないなんて残念な感じです。でもいかにも親しみやすい人という雰囲気で、家の近所にあんなマスターがいる「喫茶店」があったら、頻繁に通ってしまいそうです。

喫茶さえずりでコーヒーを飲むのは、きみちゃんにとっては憧れだったんじゃないかなと思います。信楽から出稼ぎに来たきみちゃん、決して高くないお給料で家族に仕送りをしたり貯金をするために内職もする生活の中で、喫茶店のコーヒーって安くないです。憧れのお店のマスターはとっても優しい雰囲気で歌ったり気さくで、憧れをさらに優しい気持ちで包んでくれたように思います。

正直、途中まではイマイチというか、キャラクターが生かされていないのではないかと思った。普段の芸を思えば地味な感じがしたからしたからだ。これだったらこの人でなくても、大阪人ならだれでもいいではないかと思った。しかし、出番の最後の方で、酒田が支払いを終えて出ていこうとした時に、「ええからはよ追いかけ」の一言が、かっこいいなあ、おいしいなあと思った。いかにも大阪人らしい。あれで今までの分が帳消しになった感じ。

優しくていい雰囲気のマスターで好きです。
売れない役者の雄太郎を雇ったり、喜美子が来たらさりげなくサービスしたり、と決して前に出る訳じゃないのにさりげない気の利き方がいいですね。
オール阪神さんの新しい面が見られて、「喫茶さえずり」のシーンがでる度に私もお茶したくなりました。