シッコウ!!～犬と私と執行官～

あの神経のずぶとさは、まさに中小企業の経営者にはよくいるタイプ。とにかく強引で、人の言うことを聞かないけど、ちょっと人の良さを見せることがあるところも、こういう人たちあるあるという感じです。このタイプの人と仕事するのは疲れるし、何でも押し付けてくるからホントに厄介なんだよね。ひかりが翻弄されてしまう気持ちがよくわかります。板谷さんはそんな雰囲気を見事に表現しているなと思います。ああこういう人いたなと、うんざりした気持ちを思い出してしまうほどに。

ペットでお金儲けしか考えていないのかと思いきや多頭飼いの飼育現場で見せた真剣な顔にドキッとした。この人にもこんないいところがあるのかと認識できたし、普段のおふざけも見ていられると思った。ブレない信念をちゃんと表現してくれるとそのキャラを好きになれますね。

初対面ではあんなにピリついて言い合いしてたのに、すっかり千尋と仲良くなって保護犬活動に尽力して保護犬ホテルまで作ろうと計画しているアグレッシブさが上野原らしい。お構いなしにガツガツ迫って来る姿を何度も見ているから、その行動力に説得力が感じられたのも良かったし、ビジネスの道具ではなく、犬のことが本当に大好きでちゃんと考えてるんだなって伝わってきたのも嬉しかったです。

金儲け主義の人かと思ってたけど、虐待疑惑の通報があった時には吉野たちとワンコの救出に向かったり、無責任な飼い主に腹を立てていたり、その飼い主が倒れてた時も警察に電話をして手助けしたり、ちゃんと犬を愛する気持ちが感じられたのが良かったです。めげずにまたビジネスを立ち上げている逞しさも、千尋に売り込みに行く時の強引さや負けん気の強さも上野原らしくて良かったと思います。

新ビジネスに吉野をスカウトする時の圧が凄い。「あなたのことが大好きだったの～」って手を握ったり、やたら距離が近くてグイグイとした強引さがあって、全く懲りずに開き直ってさらにパワーアップしている図々しさと強メンタルが上野原らしさ全開で笑ってしまいました。経営者としてどうなんだろうって思うし絶対に関わりたくない人だけど、何処か愛嬌があって不思議と憎めないところも魅力に感じます。

「お久しぶり～」って悪びれることもなく普通に吉野に会いに来られる神経の図太さが上野原らしくて良かったです。数秒の出番だったけど、優雅に手を振ったりヘラヘラ笑ってたり、差し押さえにあって夜逃げまでしたのに全然懲りてないし反省もしていないんだろうなあって伝わってくる演技がとても良かったです。

気取った話し方はもちろん、歩き方や手の指し示し方など、ちょっとした仕草や動きで「デキる女社長」らしさを醸し出していたのが良かったです。ちょっと早口気味な口調やセカセカした歩き方も、１分１秒でも惜しい多忙な毎日を送る上野原らしさが感じられました。ファッショナブルな衣装もしっかり着こなしていて格好良かったです。差し押さえシーンでの慌てっぷりや「剝がしなさい」「貼るな！」とムキになって抗議するところも、普段の気取った姿とギャップがあって良かったと思います。