虎に翼

最後まで寅子の良き友、良きライバルとして絶妙の活躍を見せてくれました。女性やマイノリティの権利という大きな問題を取り上げるのに、寅子に焦点を当てるだけでは限界がありました。そこをよねをはじめとする同窓生たちが、うまく埋める絶妙の配置だったと思います。特によねと轟のコンビは弱者に寄り添う弁護士として、とても良い働きをしました。

演じる土居さんですが、常に妥協せず強くあれと自分に言い聞かせて戦い続けた女性です。言い方は良くないけど女を捨てることで女のプライドを守るという感じでしょうか。そうやって戦わないと男社会に立ち向かえなかった時代は確かにありました。土居さんは女優ならつい可愛げを見せたくなるものですが、そんなところは見せず、時に痛々しくも、高潔に演じ切ったと思います。

よねさんの最高裁だろうとなんだろうと変わらず自分の信念に真っ直ぐなところにいつも勇気をもらっていました。今日の裁判の判決の時、自分たちの主張が通り歴史的な大逆転を前に目に涙を浮かべて喜びを噛み締めるよねさんに胸が熱くなりました。あの場で泣かなかったのもまたよかった！万感の思いがつたわりました。

最高裁でのよねさんが美しくて凛としていて見とれてしまった。言葉の一つ一つが重くて、その中で感情が少し動くのが、怒りが増していくのが見えて本当に素晴らしかった。法廷での「クソ！」は最高だった。

みいこのことを航一に話すシーンにくぎ付けになった。おぞましいけれど、ありふれた悲劇だと言ったところで見ていて泣いてしまった。よねのバックボーンや覚悟みたいなものがすごい見えて。よねさんがよねさんのまま、きちんと使える力を得て戦ってるって実感できたし、これからどうなりたいのかも。よねさんが土居さんで良かった。中の人はとってもキュートでまるで別人みたいだけれど、土居さんのよねさん以外考えられないと思う。

時間が経ってもどこにいても「よね」は「よね」のままで。頑固と言ってしまえばそれまでなんだろうけれど、そのこだわりを持ったまま、それでも心の中は少しずつ穏やかになっているようにも見える。それは仲間との信頼関係だったりもするのだろうけれど、チラッと見せる柔らかな表情がとても良い塩梅で上手い。

たまにあさイチに出ている時はすごく女性らしくて同じ人なんだよね？と二度見してしまうくらい印象が違う。よねのシーンも飛び飛びだから時間が空くだろうに、ちゃんとよねでいてくれるところに安心する。渾身のジャンケンがとてもよかったです。

梅子が「ごきげんよう！」と言って部屋を出ていった時のキラキラした顔がとても印象的だった。きっとよねの生きていきたい姿でもあったのだろうと思った。嬉しそうに追いかける姿が忘れられない。

きっとよねさんにとって梅子さんは男に縋って生きてきた真逆の人生を生きてきた人だと思っていたのだろう。その梅子さんが自分の意思で家族と決別して出ていく姿をキラキラした目で追い嬉しくて興奮した顔で追いかけるところが良かった。セリフがなくても表情が豊かで素晴らしいです。

寅子に再会した時、轟の時、梅子の時、それぞれ表情が違うのが印象的でした。梅子さんが事務所を訪れた時、早く声をかけてほしくて待っているような子供のような顔をしていてかわいらしいなと思いました。自分との関係をちゃんと考えて演技されているなと思います。

土居さん、声も表情も良いですね。こういう役はつい大振りな演技で役を作りそうなものですが、すごく自然体な立ち居振る舞いで、自然な中性感が出てると思います。ここに宝塚系の女優さんを当てていたらまた全然違うイメージになっていた気がしますし。

話が進むにつれてどんどん好きになってしまう。生きづらいだろうなとか自分を重ねて見てみたり。つっけんどんで取っ付きにくい感じではあるのだけれど、内面はとても繊細でとても思いやり深く優しい。あの衣装は世間と戦うよねなりの戦闘服であり鎧なんだろうな。せめて心の鎧を脱ぐことができる日が来るといいな。

みんなで海辺にやってきた時、1番最初に悲しそうな顔をしたのがよねさんだったことを見逃さなかった。口では強そうなことをいつも言っているけれど、1番繊細で傷つきやすい感じが伝わってきた。最後は後ろ姿だけが映っているのに泣いているようにも見えた。

無罪が決まった瞬間の喜びのガッツポーズがすごく良かった。法律は武器だと考えるよねがその武器で正当に勝利した喜びが力強く表現されていたと思う。表情はあまりないけれど寅子や女子部のことを仲間と思っている証拠でもありこちらまで嬉しくなった。

相変わらずつんけんしているけれど、心なしか表情が柔らかい。一緒にいる時間が長くなって、安心感だったりあるんだろうなというような想像が出来てしまう。一番大好きなキャラだ。

つねに沸々とした怒りを持っているって大変だと思う。体力要るよね。みんなの話を聞きながらふっとバカにしたように笑うところからいろんな意見を聞いて自分の価値観を揺さぶられているような演技まで寡黙ながら幅が広い表情に魅了されている。