TOKYO MER～走る緊急救命室～

涼香を騙したときはあんなに悪い顔をしてたのに、本領発揮し始めた白金大臣の言葉を楽しそうに見てた姿はまったく悪い人に見えなかった。赤塚も助かったしMERを率いることになった音羽を見つめる目も優しくて、もやもやさせられました！笑

保身のために平気で人を騙すし命を軽視するし、クズではあるんだけど、天沼が涼香が亡くなった話をした時にチラっと音羽を気にするように見やったり、白金に「自分か天沼か今すぐ決めなさい」と言われた時の即決っぷりや、白金の命令ではあるけど赤塚知事の移植手術に尽力したりと、最終回はこれまでのクズっぷりとは違う色んな顔が見られたのが良かったです。白金も言っていたけど、何気にずっと白金に忠実なんですよね。強い者について行くというブレなさも何だか憎めなくて、全編通して良い味出していたと思います。

やってることも言ってることも嘘ばかりで飄々とした笑顔はとても腹が立つ。なのになぜか音羽を助けてくださいと頭を下げたシーンは涼香が信用してもおかしくないような説得力があって、久我山は好きにはなれないけど凄かったです。

悪党ではあっても大悪党ではなくて、卑劣で正直さの欠片もなく、せこくてこすっからい。もし何かあれば真っ先に切られてしまう小者感が半端なく匂ってきます。格好いい役は結構演じるのは簡単です。でもこういう芝居は難しいわりに、人気も出ないし、評価も低くなりがちですが、それを鶴見さんは堂々と演じ切っています。このドラマで鶴見さんがいるのといないのとではドラマの面白さやスリルが、間違いなく大きく違っていたはずです。それは役の力よりも、鶴見さんの存在感によるものだと思います。

人命軽視発言繰り返すわ、音羽を嵌めた挙句涼香まで利用するわと、ホント救いようのないクズっぷりですね。ここまで徹底してると逆に清々しいくらい。しらじらしい口調や相手を小馬鹿にしたような視線、全身で久我山の狡猾さや憎々しさを表現していて、出番はそんなにないけど存在感は抜群だと思います。

天沼が白金に「次の大臣のポストはないと思え」とハッパをかけた時に意味深な表情で白金をチラっと見たり、時折苛立ったように唇を噛んだり、音羽に当たり散らしたり、いちいち行動が不穏で怪しいというか、何かあったら平然と白金を裏切りそうな信用出来ない雰囲気がプンプン漂っているところが上手いと思います。相手によってあからさまに態度を豹変させるところも分かりやすい「政治の世界の人」のイメージそのもので良いですね。

音羽に意味ありげに涼香の話をしたり、子どもたちの命がかかっているのにMERをバラバラにするよう指示したり、医師としてやりがいを感じている音羽を毎回官僚側に引き戻す良い役割を担っていると思います。相変わらずの嫌味ったらしい表情や含みのある口調もヒーロー的存在のMERと良い対比になっています。

天沼に対するオーバーな作り笑いと下手に出る態度が「今、ご機嫌取ってます」って分かりやす過ぎて笑っちゃいました。MERの活躍を目の当たりにして不服そうな表情をしていたり、天沼が閉じ込められたと聞いて大慌てになったり、台詞がなくて画面にメインで映っていなくても久我山の嫌味ったらしや権力に弱いところをしっかり表現している演技の細やかさもさすがだと思います。

絵にかいたような太鼓持ちで、彼の言動には毎回失笑させられる。大臣や大物政治家に媚びへつらってるさまは、滑稽さを通り越して哀れみすら感じるけど、そんな人間が官僚としてそれなりの権力の座に就いてるってことが最大の悲劇って感じ。妙なチャーミングさもあって憎み切れないキャラだったりもするけど、最後は白金大臣とともに失職してほしいわ。

ん？え！？つるみしんごさん？と惹きつけられました

悪者がいてこそ主役達が生きるのです。このドラマは悪者の出番が少ないから今の鶴見さんの演技がちょうど良い。和田常務に比べたらまだまだなくらいです

1話よりもさらに演技がオーバーになっていて、ちょっとやり過ぎな感じが…。口調や表情で十分敵役に見えるのだから、あんまりあからさまに悪役芝居をしちゃうとコントみたいに見えちゃいます。MERを目の敵にしているから仕方がないけど、演技が濃いせいで医療事故や医療ミスを望むような台詞がやたら印象深く感じられて、人命を軽視しているのが際立ってちょっと不快に感じてしまいました。

含みのある口調や嫌味ったらしい表情、喜多見を糾弾する時のオーバー気味な演技など、めちゃくちゃ分かりやすい敵役っぷりが良かったです。眼鏡の奥の目を細めたり、音羽に圧をかける時に横目でチラっと見つめたり、目の動きだけで久我山の狡猾さが伝わってくるところもさすがです。