トップリーグ

むしろうさん臭い感じで正義の記者にまったく見えませんでした。

脚本や演出のせいもあると思いますが、近藤の推薦で政治家になるとまで言っていたのに松岡に証拠の録音データを渡すことを決意するまでの心の変化や葛藤があまり伝わってこなかったのが残念です。台詞まわしや表情が良くも悪くもあまり感情的にならず落ち着きがある女優さんで、そのポーカーフェイスが魅力でもありますが、今回はそのミステリアスさが灰原の記者としての信念や正義感の強さを伝わりにくくしていて役に合っていなかった気がします。

松岡に「近藤さんとの会話はすべて報告しろ」と指示された時にはすんなり受け入れるけど、すぐに「でも記事は書くよ」と返すシーンが灰原の真っすぐさや融通の利かない頑固さを物語っていて、出番が少なくても彼女の人となりがちゃんと伝わってきたのが良かったです。真面目だけど堅物ではなく、松岡とも親しげに話すし口調も表情も穏やかだけど、絶対に自分の信念は曲げなそうな芯の強さを感じさせ、松岡がかつての自分を重ねて「近藤に利用されるかも…」と心配する説得力があるところも良いと思いました。

綺麗で落ち着きがあって、一見ガツガツした向上心とは無縁に見えますが、松岡に「いつか政治部に異動してトップリーグに入る」と語る時の口調や表情が「私なら当然でしょ」というような自信に満ちあふれていて、チャンスさえあれば自分はその夢が実現出来ると確信しているように見えたのが見た目とのギャップがあってキャラクターとして面白く感じました。記者会見での言い逃れはさせないというような強気で責めた姿勢も灰原のやり手感が伝わってきて良かったです。