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最終回の演技がどれも素晴らしかった。叫び声や小さくなって謝り続ける姿、声にならない泣き声から梅ばあの深い後悔や贖罪の気持ちが痛いほど伝わってきて、しばらく頭から離れないくらい印象深かったです。施設時代のシーンで見た目だけではなく話し方や姿勢、歩き方までしっかり若返っているのもさすがでした。

加賀美とこころが乗った車を見送る時の心配そうな表情や、「私が全部やりました」と告白する時の覚悟を決めたような意志の強そうな眼差し、パトカーに乗った後の何かを抱えたような複雑な顔、最終回直前にものすごいインパクトと存在感を示して、ドラマを盛り上げていたと思います。1話から少しずつ積み重ねられた「あれ？」という違和感や視聴者の目に留まるような細かな演技があったからこそのこの盛り上げはさすがだと思うし、最終回で木野さんのお芝居をがっつり堪能出来るのがすごく楽しみです。

世々塚や海造まで「こころが刺した」と口にする中、「誰か犯人見た人間はいないのかい？！」と強い口調でどんぞこ常連メンバーに詰め寄り、こころが犯人だとはこれっぽちも疑っていないところにグッときました。犯人捜しをする源治や聖夜を「町の人同士が疑い合うの、見たくねえんだよ」と一喝するシーンも、仲間と町への愛情が感じられて良かったです。

みんなが犯人探しに躍起になっている中、そんなのは嫌だ！と1人怒っていた梅ばあ。穏やかな日常が変わってしまうのが嫌だったんだよね。ヨヨ塚さんの名前を忘れて逆ギレ？ちょっとむくれた梅さんがとてもかわいらしかった。

まつりの葬儀で南十字に怒りをぶつけるシーンが凄かった。泣き叫びながら南十字に詰め寄る姿が怒りと悔しさに満ちていて、見ているこちらまで胸が痛くなるくらい梅ばあの気持ちが伝わってきました。こころと大五郎二人の静かなシーンから一瞬でピンと張り詰めた空気に変えるところもさすが。どんぞこでしみじみとまつりを悼む姿も、穏やかで静かな口調や懐かしむような表情に近しい友人を亡くしたリアリティがあってグッときました。

源治が虎松たちに聖夜との関係について説明している時の絶妙な合いの手が最高。酒向さんと息ぴったりでめちゃくちゃ面白かったです。源治と聖夜の喧嘩を仲裁する時の肝っ玉母ちゃんって感じの威勢の良さも格好良かったです。源治と聖夜の関係も把握していたし、町の皆のことを何でも知り尽くしてる感じだけど、あちこちに吹聴せずに自分の心に留めておくところも、梅ばあの信用出来る人柄が感じられて良いと思います。

大五郎の胸ぐらを掴んで「やんのか？」とブチ切れてる血気盛んな姿から、「はい、いらっしゃい」と瞬時にしおらしい店番モードに切り替わるギャップが面白かったです。虎松に血の付いたタオルについて訊かれた後の意味深な表情もそうだし、１話の時から何か知っていそうな雰囲気をちょいちょい醸し出していて、出番は少ないけど毎回印象に残ります。

虎松の結婚を手を叩いて大喜びする姿が良かった。前回危険な目に遭って大変だったけど、新居や結婚式の打ち合わせを楽しそうに聞きながらワイワイ盛り上がる元気な姿が見られてホッとしました。虎松のことを自分の孫や息子のように大切に思っているのが伝わってきてほっこりしたし、口が悪くて棘々した部分もあるけど根っこは愛情深く温かい人なんだろうなと感じられたのも良かったと思います。

梅ばあを見ていたら切なくなるところがありました。強がりは寂しさの裏返しでもあるんだな。身寄りのない心細い心を奮い立たせるように戦闘モードになっている気がしました。虎ちゃんが来る日は口の悪さとは裏腹にウキウキしているように見えていじらしいなと思いました。

口は悪いしすぐに怒鳴るし、一見とっつき難い雰囲気だけど、虎松のために楽しそうに芋煮を作ったり、火事の際も必死で虎松の名前を叫んだり、随所で虎松への愛情が感じられるところがとても良かったです。つい悪態をついてしまう梅ばあの不器用で照れ屋な本来の性格が滲み出ていて、感じが悪いけど憎めない。少ししゃがれた声で大声で怒鳴っても、ちゃんと台詞が聞き取りやすいところもさすがでした。