極道めし

最終回は看守のリクエストで一平がうまいもん話をするという新しい展開で、最後までマンネリを防ぐ工夫がされているところが良かったです。一平の奥さんも芯が強いしっかりした素敵な女性で、彼女がいれば一平ももう大丈夫、やり直せると思えました。今まで見たことないタイプのドラマでしたが、毎回出てくる料理が美味しそうなのはもちろん、その料理に出会うまでのエピソードが人間臭くて好きでした。

このドラマを見ていると、普段はそんなに興味がない食べ物でも物凄く魅力的で美味しそうなごちそうに思えてきます。今回の牛大和煮の缶詰も、個人的には積極的に購入して食べようとは思わないですが、新入り君の見事な語り口とタレの染みたご飯の映像を見ていたらどうしても食べたくなって買ってきてしまいました。ただの旨いもん話だけでなく、以前出てきた人物や出来事が後から繋がったりして凝った作りだし、食を通して受刑者一人一人の人生も感じられて結構深いドラマだなと思います。

今回は皆女性絡みのうまいもん話で、それぞれの人間性やこれまで何をしてきたかなどがより詳しく描かれていたのが面白かったです。特に荒木さん、怖い顔だけどペパーミントちゃんの誘惑に負けず「自分をもっと大切にしろ」と温かく父親みたいな対応だったのが意外で見直しました。荒木さんの鍋焼きうどんも美味しそうだったけど、個人的には一平の生姜焼きの付け合わせのスパゲティサラダに一番惹かれました。生姜焼きのタレが絡んだスパゲティサラダ、絶対に美味しいよなあと空腹と戦いながら見ていました。

今回は出演者本人たちがうまいもん話をする＆女子刑務所バージョンというスペシャルで内容盛りだくさんで見ごたえがあり面白かったです。女囚たちの話が過去の放送話とつながってたり設定が凝っているし、男性レギュラー陣も皆話が上手くて笑いと感動を与えてくれました。特に小沢さんの塩むすびの話は、ゲリラに拳銃を向けられるという物騒な展開からは予想がつかないくらい、日本人のおもてなしの心を感じられて温かい気持ちになれました。

久々に八戸さんが登場したのが嬉しかったです。美味しそうにかつ丼食べてたし、相棒になりそうな子猫ちゃんとも出会ってたし、今度こそ更生して幸せになって欲しいなあ。刑務所が舞台だからセットも衣装もほとんど変わらないけど、新入りくんが入ってきたり、一平の連続殺人犯説で1話全部使ったり、マンネリして飽きが来ないように工夫しているところも良いと思います。

元々が漫画だったドラマなんですが、漫画と比べるとまったく面白さがないと思いました。
キャストと音楽については、この音楽もこのドラマにあってるし、キャストも一致していると思います。
そしてストーリーについてですが、笑いと感動が薄いような感じがします。
とくに場所が刑務所なのでもう少し「何で俺はこんな人間になったのか？」「あれはこういう意味だったのか‥」のような感動、人情を強くしてほしいと思います。
そしてスリル感は、脱獄などのまったくスリルがないと思います。

ちょっとマンネリしてきたところだったので、八戸さんがいなくなって新入りくんが入り、個人戦ではなく4人で協力し合うという展開が新鮮で面白かったです。元力士の新入りくんは話は上手くないけど「喉を鳴らしてやろう」という欲がないからか、分かりやすい素直でストレートな言葉で表現しているのが逆にハンバーグの美味しさを想像しやすくて良かったです。

一平の怪談話が怖すぎました。ただのチゲ鍋の話だと思って聞いていて予期していなかったので余計にゾクゾクきました。八戸さんが警官だったのも驚きでしたが、ああいう駐在さん、本当にいそうですよね。カレーとか冷麦とか羊羹とか、すごい御馳走というわけではないのに、このドラマで見るとものすごく美味しそうに見えて猛烈に食べたくなるから不思議です。

第三話、冒頭での柳沢慎吾さんと信田昌之さんのやり取りがとても素晴らしいです。信田さんの眼光の鋭さと短いながらも印象的なセリフは、このオヤジもただ者ではないなという感じがしてとてもドラマチックです。ドラマチックすぎてちょっと都合が良すぎるストーリーではあるのですが、柳沢慎吾さんの罪状が「詐欺」なので府に落ちました。逆に福士誠治さんのエピソードはドラマチックで漫画っぽいんですが妙にリアリティーがあって良かったです。今野浩喜さんの貝のエピソードで肝で皆がひいてしまうのも良かったです。確かに苦味の旨味は伝わりにくいですね。毎回毎回、食べ物の撮影の仕方が見事だなぁと思います。

メインの鉄鍋餃子も美味しそうでしたが、個人的には坂井さんが食べていた炭火の焼き鳥が一番食べたくなりました。お店の大将の粋な計らいもちょっと良い話っぽくて良かったです。食べ物の話をリレー形式でするだけのドラマなのに、その1食1食にそれぞれの思い入れやエピソードがあって面白いです。

荒木の母親役で泉ピン子さんが出ていましたがさすがの演技力で素晴らしかったです。田舎のお母ちゃん姿も似合ってたし、刑事を次々もてなして逮捕される息子を行かせまいとする姿にはホロリときました。牛丼やうな丼など色んな料理が出てきましたが、素朴な高野豆腐の煮物がしみじみ温かく懐かしくてグッときました。

1話のとんかつと目玉焼きが乗ったスペシャルなカレーがめちゃくちゃ美味しそうでした。誰かと一緒に食事をするって、それだけですごく幸せなことなんだなと少年時代の坂井の笑顔を見てしみじみ感じました。まさかこんなほっこり温かい気持ちになれるドラマだとは思わなかったので意外でした。料理トークで相手の喉を鳴らすという斬新なストーリーも新鮮で面白かったです。