ボクの殺意が恋をした

息子の敵を射殺する時や赤坂に殺害の証拠をつきつけられる時の淡々とした表情がゾクッとするほど冷たくて怖かったです。でも柊にSOSの存在意義を説くシーンでは自分に言い聞かせているようにも見えて、SOSの一員として生きることにほんの少し迷いや葛藤が見えたのも、柊の説得に応じる展開に説得力が生まれて良かったと思います。

柊や丈さんをはじめ、レギュラー陣ほとんどを敵に回して1人で対していても、全く引けを取らない存在感が凄いです。柊と葵に2人の無理心中計画を語る時も、どこか他人事っぽいというか、ドラマや映画のあらすじを説明しているくらいの淡々としたテンションなのが却って怖かったです。ポーカーフェイスっぷりが見事で心の内が読めないところも良かったです。

莉奈を脅迫する時も柊たちと談笑する時も、あまり声の調子や表情が変わらないところが詩織の怖さを際立たせていて良いと思います。何を考えてるか本心が全然分からない感じがして、最強の殺し屋として他人の異変や機微に敏感そうな丈さんが、千景に言われるまで詩織の正体に気付かなかったという説得力もあります。幼い柊とのツーショット写真を見つめる目に優しさが感じられ、まだほんの少しでも良心が残っているのかなという希望が見えたところも良かったです。

1話からずっと、水野さんがこの程度の扱いなわけないよなって思ってたけどまさかの黒幕だったとは。声のトーンや口調、態度に大きな変化はないのに、ちゃんとダークな本性を現したのが伝わってくる表現力の高さがさすがです。千景に悪事を追及されて「それが何？」と涼しい顔で平然と開き直る姿も、人殺しを何とも思わない詩織の冷酷さが感じられて良かったと思います。

出番が少なくて勿体ない扱いだなと思っていましたが、4話は皆がいる前でわざと美月の家族の話を持ち出したり、美月の母校の教育実習生だと偽って母親に会いに行ったり、本業シーンがたくさんあって良かったです。探りを入れる時の相手を窺うような視線や、意味ありげな表情、ゆさぶりをかけるような口調など、手ぬるい柊とは違う攻め一直線の姿勢がさすがプロフェッショナルという感じで、柊に言った「子供の遊びじゃない」という言葉にも説得力がありました。柊はもちろんだけど、デスプリンスも意外とポンコツだし、ドラマ内でちゃんと仕事が出来る人を目の当たりに出来て見ていて気持ちが良かったです。