ブラッシュアップライフ

これは美穂役の木南さんにも言えるのだけれど、メンバーの組み合わせが変わっても、ループする世界を前回と同じように淡々と演じるのは案外難しい。テンションが微妙に違ったり、雰囲気が変わったりしてしまいがち。でも夏帆さんは夏希のキャラ通り、マイペースで変わりません。木南さんの掛け合いも絶妙だし、そこに安藤さんや水川さんが加わっても、前世(？)と同じペースを崩しません。だからこそ主人公がいろいろ変えようとするループが生きてくるわけで、ドラマを下支えする演技だったと思います。

何人かのグループで1人はいる天然系がなっちでしたね。誰かが話していてもマイペースにお菓子を開けたり食べたり、説明しない問題もなっちならなんの疑問も持たずにやるだろうなと想像がつきます。まりりんやあーちんが変わっても何一つ変わらないなっちが好きでした。

まりりんのことを「まっさん」という謎のあだ名で呼びだしたり、「紹介しない問題」健在で麻美に恥かかせちゃったり、突然すーさんに電話しようとしたり、マイペースでちょっとズレてて皆に突っ込まれるキャラが可愛らしくて似合ってました。皆に指摘されても「あ、そう？」とあんまりピンときていないところも天然ななっちぽくて良かった。どこかに本当にいそうなリアリティのある芝居と、毎回魅せてくれるテンポの良い会話劇も見事でした。

４人でお茶してる時の、テンション高めで楽しそうなんだけど親友の時とはちょっと違う距離感というのがすごく上手い。声のトーンや表情に滲ませる余所行き感や遠慮の塩梅が絶妙。ほとんど話したことがなかったとは思えない盛り上がりっぷりも、元々は仲良し４人組だったという説得力が感じられて良かったと思います。

前回は麻美と疎遠になって賑やかな仲良しぶりが見られず寂しかったので、まりりんの1週目の人生でもマイペースでのんびりしたところは全然変わっていないところや、３人の時よりさらにパワーアップした４人でのわちゃわちゃ楽しそうな姿が見られたのが嬉しかったです。これまで見せてくれた自然でリアルな演技によって、なっちという女の子が実在しているような感覚になっているので、事故で亡くなるという悲劇が他人事ではないというか、近しい人が亡くなった時に似た喪失感やショックを感じさせたのもさすがだなと思いました。

麻美と笑顔で喋っているというシチュエーションは仲良し時代と同じなのに、ちゃんと「ただの同級生」という距離感が伝わってくるところが凄い。口調の優しさや言葉のチョイスがソフトなところなど、遠慮ゼロだった親友時代とは違う遠慮が透けて見えるのが上手いです。冒頭の麻美の夢のシーンで、無表情で突然麻美から逃走するシーンもシュールで面白かったです。

福ちゃんのCDを聴いた時の無の表情が面白い。表情も動きもフリーズしちゃって、衝撃が凄かったんだろうなって伝わってきました。もう1回かける？と麻美に訊かれた時の「2度とかけないで」と被せるように断るところも辛辣過ぎて笑っちゃいました。ずーっと3人でお喋りしてるけど、どのお菓子を食べようか選びながら相槌打ってたり、ティッシュで指を拭ってたり、仕草がすごくリアルで予定調和って感じがしなくて、その場面の中でなっちとして生きてるって感じがするところもさすがだなと思います。

どんな役もつつがなくこなし、好きな女優さんです。演技上手い！

３人の止まらない女子トークが大好きです。止まらないトークの合間にも自由に動き回りお菓子を出したり、勝手に食べ始めたり自由度が高いところがいい。自分の忘れていた昔のエピソードに目をまんまるくして二人を見つめる顔が可愛すぎます。

3人で床で寝たいってしつこく強請るところが謎過ぎて可愛い。買ってきたお菓子を麻美に指摘されるまで放置してたり、皆で食べられる大袋ではなく、一人用の小分けのお菓子から開封して食べ始めたり、なっちのマイペースさが垣間見れたのも良かったです。台詞にはないし、画面でアップになるわけでもないけど、ちょっとした仕草で役柄の性格を自然に表現出来るのがさすが。3人で楽しく盛り上がる姿に元気貰えました。

ただファミレスでお喋りしてるだけなのに、何でこんな見ごたえのあるお芝居が出来るんだろうって毎回感心してしまいます。ドラマ部のノートを取り出す時の得意げでワクワクした表情とか、ノートを見ながら話題が尽きない姿とか、会話自体は内輪受けの内容ゼロなものなんだけど、見てるこちらまで笑顔になっちゃうくらい楽しそうに盛り上がっていて、麻美がこの時間を「パワーチャージ」と言っている説得力がありました。

玲奈ちゃんの物真似、めっちゃ似てたなあ。声の高さや可愛らしい話し方が玲奈役の黒木さんそっくりで、でも単なる真似ではなくて、ちょいちょい大袈裟だったりワザとらしい感じを滲ませて、ちゃんと「玲奈ちゃん役を引き受けるなっち」になっていたのもさすが。玲奈ちゃんになりきり過ぎて、涙を拭いたであろうティッシュがテーブルに散乱してる様子も面白かったです。

1話の会話を見たあとに、2話で福ちゃんにサインもらって大はしゃぎしてる姿を見るとめちゃくちゃ面白い。あんな喜んでるのに速攻でそのサインを失くしちゃうのも、その場のノリでワーっと盛り上がるけど冷めるのも早い若者らしくて良かった。麻美と美穂との素のような会話劇も、テンポが良くてホント上手いし、台本に書かれた台詞って感じが全くしないところが凄いです。

まみとみほに対して少し甘えるようなキャラのなつき。３人組ってみんなが同じタイプではないことが多いしアクセントになっていてとてもいいなと思いました。３人の会話が肝になっている場面が多い女子会で終始リラックスムードを出していたなつきが可愛かったです。

麻美・美穂とのテンポの良いやりとりが自然で良かった。地元の幼馴染同士らしい、リラックスした空気感やポンポン続く早口の会話、３人の仲の良さが十分過ぎるくらい伝わってきて、中身のなさげな会話（後に伏線だと分かるけど）もつい面白くて聞き入ってしまいました。上手い役者さんが揃うと何でもない日常のやりとりも見ごたえがあるものに仕上がるんだなと実感しました。カラオケ店で椅子に寝っ転がって歌ったり、体育座りしたまま足でリズム取ってたり、素っぽく寛ぐ姿も気取りがなくて可愛らしかったです。