危険なビーナス

自分の夫が犯罪者だったとは、今回の騒動で一番気の毒なのは多分この人ですね。姉を殺した犯人も判明し、夫も逮捕されて実質的にも一人になるとは、二重三重のショックでしょう。伯朗も、この叔母さんとは血のつながりもあってほぼ唯一の肉親なのに、彼女のことをそれほど心配してない様子なのが、薄情な感じ。

夫が姉を殺したという事実がとてもつらそうでしたね。あんなに仲のいい夫婦だったのに、と思うと切ないです。料理もいつも美味しそうでした。昔に比べるとだいぶ老けた印象でした。でもその幸薄そうな雰囲気がたまらなかったです。

よく観ていないと誰だかわからないくらい存在感はなかったのだけれど、他に沢山目立つメンバーがいたので、それが逆に良かった様な気がします。そして、最後に自分の姉を殺した犯人だったと分った夫に対しても、嫌いになれないの…みたいな事を仏壇の前で言うシーンは、とても印象に残って良かったと思います。

最終回、禎子さんの仏壇の前に座る姿が一気に老けこんでいてショックの大きさがひしひしと伝わってきました。背中も丸く目も虚ろで、メイクの影響もあるけどすっかりやつれて見えて、溌剌として若い印象だったこれまでの順子さんとまるで別人のようでした。夫が姉を殺して、その第一発見者になってしまうなんて可哀想過ぎる…。スピーディーにサラっと流れていくストーリーの中で、順子さんのこのシーンはズシっと重たく感じ、とても印象に残りました。

伯朗の叔母さんにしては、やけに若い感じ。実年齢はいくつなのか知らないけど、夫が定年退職してるなら、それと同じくらい？　子供がないから、いつまでも気持ちも若いのかな。見るからに鬱々した根暗な雰囲気の伯朗の母親とは姉妹なのに雰囲気も違い過ぎだし、言動もお気楽を通り過ぎて軽薄さすら感じる人ですね。

見た目は若くてチャーミングなんだけど、口調や表情でちゃんと世話好きで気の良いおばちゃんっぽさを表現していたのがさすが上手いなあと思いました。明るくて温かくて、矢神家とは正反対のホッと出来る存在ですね。最後まで良い人であって欲しいなあとつい願ってしまう、魅力的な人物だったと思います。

一瞬誰だろうと思ったけど、気づいて全然変わっていないのでびっくりした。細いままだし「絶対キレイになってやる」のCMの頃と数十年経っても可愛らしさと雰囲気が一緒。彼女がいるシーンはパッと周りが明るくなる感じがする。