鎌倉殿の13人

実衣さんって、ある意味普通の人だったのかな。権力が目の前にちらつくと欲しくなり、すべて潰えたら姉を支え、弟を擁護し。環境で言っていることが変わったりする部分もあるのだけれど、自分に正直な人だなと思う。だからこそ政子は実衣を救おうとしたのだろうし、なんだかんだ兄弟に愛されるキャラだった。そして可愛らしさも最後まであったなあと思う。

権力に取り憑かれている頃着ていたのはびっくりするほど鮮やかで濃い赤の着物。紅も濃く顔もキツかった。でも幽閉を経て髪を剃った実衣はくすんだピンクの着物とクリーム色の頭巾を被り憑き物が落ちたような柔らかい顔をしていた。のえさんに助言した時の顔は昔の自分に言い聞かせているようで説得力がありました。

「小四郎、誰？」と言った権力欲に魅入られている感じ、首をはねられるかもと言われて「化粧をして」という心ここにあらずの表情、そこからの「死にたくない」と政子にすがりつく様子。人って極限にあるとこう変遷するのかも。政子が尼将軍になることで助けられたが、政子と真言を唱えながら精気が戻っていく様子がわかってすごい役者さんだなと思った。

「今度こそ、死ぬ」をちょっとだけコメディタッチで入れていたのが面白かった。矢面に立つ男性ばかりがフィーチャーされるが、中で待っている女だって身の縮むような思いでいるのが伝わってくる。内心冷や汗だろう。そんな思いに気づかせてくれた。

初めは天真爛漫、そして姉に対する対抗心と嫉妬、ちょっとした浮気心、妻としての矜持、強い復讐心など、女性として良い面から悪い面までをすべてさらけ出すキャラであり、姉である政子の落ち着きや覚悟などと好対照なシーンも多いように思います。それを宮澤さんは見事に演じ切っていますが、芝居のうまさというより、生来の育ちの良さが凛とした部分を支え、理解力の高さが実衣の状況や感情変化の機微を的確につかんでいる部分が大きいように思えます。頭の良さが芝居に生きている好例でしょうか。

少しサイコな面も出てきた実衣
そりゃまぁ、夫があんな最期をとげれば恨みつらみを纏うのも当然
実衣の語り方は皮肉っぽさと可愛さが出ていてそれはそれでいいのですが、早口過ぎてNHKプラスで何度も聞き直してやっとわかるレベル(^^;)

これは彼女のせいではないが、台詞が現代的すぎ。あとKの発音が強すぎてカカカと全てが聞こえてしまう。これは私の耳のせいかも。

傷ついた全成にかけ寄るスピードが早くてそれだけでおしどり夫婦なんだなと思いました。夫の最期をきちんと聞く時夫の最期の思いやその全部を自分の中に取り込むように一語一句逃すまいと真剣に聞いていたのが印象的でした。これからも全成殿と共に過ごしていくのでしょうね。

疎遠になっていた姉、政子に「あなたを守る」と言われて一気に目を腫らす実衣
全成が死を遂げたことを聞かされ悲しみに潰される実衣
とても自然で感情移入させられる名演でした
エマさん、今回のドラマで初めて知った女優さんですが、大ファンになりました

琵琶を教わっている時のミイさんの目が心なしかハートになっているような気がします。あんな目で習い事をしていたら旦那様は心配でたまらないはず。少し低い声はとてもセクシーで誘惑もできそうです。あれは誘ってますよね（笑）

結城朝光と楽しそうに会話する実衣
まるで一般市民へのインタビューのようなエマさんの声の調子の表情
「うかがっちゃおうかしら」の台詞も含めて実衣は完全に現代人として描いてるんだなと思いました。
今後全成と2人困難に巻き込まれていくんですよね。　見ているのが辛いですが…

政所の器じゃない‥今までの自由気ままな立ち振る舞いを見ていれば納得だと思う。そこですごすご立ち去るのかと思えば、最後に冷や水を浴びせるような冷たい声でびっくり。あの短い会話の中で妹まで離れていきそうな心の距離を感じた。

とうとう実衣の中にどす黒い欲が湧いて出ました。その湧く様子がとても自然で。今までの天真爛漫で自由な感じが効いている感じがします。傍観者から渦の中へ。さらに表情とか変わってくるのでしょうね。楽しみです。

大河らしくない、まんまの宮澤さんの演技をとても楽しんでいます。
彼女の現代っ子ぶりは端々に飛んでますが、とくに義高に初めて会ったとき、「源の男ってみんなシュッとした顔じゃない？！」という台詞が、もう台詞じゃなく彼女のアドリブかな…って思えました。
これからも楽しんで演じてほしい。