きのう何食べた？ season2

全く素直じゃないし、文句ばっかり言っているワタルくんだけれど、きっと小日向さんに甘えているんだよなと思う。どこまで許してくれるのか試すことで、自分の価値を確かめているというか、それだけ自己肯定感が低いのだと思う。その危うさを上手く演じていると思う。

こういうゲイの人っているよね。知り合いにいます、マジで。それくらいリアルです。見ていて一番感じるのは、芝居の基礎が出来ている人だなということです。メソッド演技をしっかり理解しているようだし、動きも役としての必然性と同時に、演劇的なポジションの取り方もちゃんとわかっているように見えます。芝居の基礎を学ぶ気さえないのだろうなという感じの役者もいる中で、真面目な好感のもてる芝居です。しっかりと航をひとりの人間として背後にあるだろうヒストリーを考え、磯村さんの個性ではなく、航の個性として表現しています。お見事です。

せっかく作って来てもらったお弁当に文句ばっかりつけてホント可愛げがないんだけど、食べ始めた途端にニコニコ幸せそうな笑顔を向けてきたり「味、浸み浸み～」と嬉しそうに感想を伝えてきたり、ふいに見せる素直さや可愛らしさが何だか憎めなくて、ワガママや毒舌も「仕方ないなあ」ってつい許してしまうような魅力が感じられるところが良かったです。拗ねたり甘えたり嫌味を言ったり、ご機嫌とともにコロコロ変わる子供のように分かりやすい表情も内面が幼い航らしくて良かったです。

「50歳」をやたら強調したお花、捻くれた航らしいプレゼントでしたね。「いい気味～」って生き生きと楽しそうにしてるのもすごく航らしかったし、W誕生祝いをケンジに自慢されたのがよっぽど悔しかったんだろうなって伝わってきました。これからの人生設計についてや老い、身近な人の死など、リアルな現実問題が描かれることも多くしんみりすることもあるけど、時々挟まれる航のしょうもない子供っぽさが良いスパイスになっていて、重くなり過ぎないようにバランスが取れているのも良いと思います。

相変わらずのワガママっぷりと空気を読まないストレートな物言いで、おじさん３人を振り回す姿が面白かったです。小日向が掃除してるそばからお菓子のカスを溢しまくって汚したり、史朗の角煮を素直に美味しいって褒められない捻くれたところなど、可愛げがないんだけど、その捻くれ方が子供っぽいせいか何処か憎めない愛嬌を感じさせ、史朗やケンジが苛立つことなく仲良く出来る説得力があるのも良かったです。

絶妙にブスで性格悪くて可愛げ無いみたいな役作りがすばらしいです。笑わせてもらいましいた。

捻くれた性格で甘えん坊でワガママ放題な小悪魔っぷりが良いですね。小日向の料理を史朗たちに得意げに紹介する姿も、小日向への愛情が感じられてほっこりしました。以前よりもだいぶ棘がなくなって丸くなってきたし「疲れちゃった」と愚痴りつつ、史朗たちとの食事会に満足したような楽し気な表情を浮かべていたり、小憎たらしいだけではないチャーミングさもあって、小日向が溺愛する説得力があるところも良かったと思います。