ミストレス〜女たちの秘密〜

このドラマの中で、唯一まともな感覚と常識を持ってる女性。ちょっとあか抜けないともいえる言動やファッションからも、まじめな友美の性格がよく表現されていたと思います。なんであんな珍妙な他の３人と友人関係であるのか不思議だけれど、そのまっとうなパーソナリティにふさわしく、これから安岡サンと幸せになっていけそうで良かったです。

毎回注目して見ていますがやはりさすがです。特に「溜めの演技」は絶品・別格の域ですね。死んだはずの夫が現れた時の表情、仕草がすごかった。あのシーンは監督からどんな指示が出ていたんだろうと想像してしまうほど、驚愕ぶりが全面に表現されていました。

水野美紀は、なにを演じていても確実に自然100％です。だからこそ安心してドラマのエンターテイメント性を楽しむことができて脚本や脚色を存分に味わえるんだと思う。演技にいちいち「チッ」とか「なんで？」という違和感を持たされることが一番「時間の無駄」を感じてしまうから演技の下手な役者が公の画面で大根役者ぶりを披露する功罪は大きいと思っています。オドオドした表情・どぎまぎする動作・安堵した時特有の脱力の表現・有頂天になって子供っぽくはしゃぐシーン、どの演技をとっても満点女優です。

やっぱりこの人は悪女とかより、こういう役がはまり役だなぁと思います。無言電話に不安を感じたり、久々の恋に年甲斐もなくドタバタしたりしながら、4人の中でその接着剤のような感じがとても良いです。唯一子持ちの「オバサン感」も、演技で上手く出せていると思います。

この女優はほんっとに演技が上手だと思います。子供への愛情も、友達同士での立ち回り方もすごく自然で、ドラマを見る上ではとても大切な「感情移入」がスムーズに行きます。また未亡人になって子供のお友達のシンパパに無邪気にときめく様子もすごくみずみずしく演じられていました。

このドラマの出演者の中では、ダントツに演技力がある人。水野さんが主役の方が良かったくらい。子供を抱えるシングルマザーの生活感みたいなのを上手く体現してるし、等身大というのか子育て主婦の雰囲気がよく出ている。他の３人と比べると地味なのかもしれないけれど、派手さがなく逆に存在感は抜群。

水野美紀の演技は本当に「さすが」だと感じています。「奪い愛」や「あなたには渡さない」などで、ふてぶてしいイメージが定着していたが、中年の雰囲気が強くなると「ごく普通の家庭の主婦」のようにも見えるし、どんな風にも色分けできてしまう女優なんだなと思います。たとえば田中美佐子を少しワルくしたようなイメージです。