越路吹雪物語

コーちゃんとの再会を楽しみにしていたので、31話でとても悲しく辛い展開になってしまいショックでした。回想シーンでの登場だけでしたが、コスモスの前での最後の笑顔がとても印象的で、観ていると涙が止まらなくなってしまうくらい健気で儚くて美しくて、八重子の内面そのものを表しているように感じました。

18話の演技が本当に素晴らしかったです。「結婚がちょっと楽しみ」と強がる笑顔からはコーちゃんに心配をかけたくないという思いと、強がらないと心が折れそうな八重子のギリギリの精神状態が伝わってきましたし、コーちゃんに「泣いても良いよ」と言われて号泣する姿は本当に痛々しくて可哀相で、観ている私も涙が止まりませんでした。

17話で満州に行くことを聞いたコーちゃんが大泣きする姿とは対照的に、悟ったような落ち着いた表情をしていたのが印象的でした。きっと小さい時から色んなことを諦めて生きてきて辛い状況に慣れてしまったのかなと観ていて切なくなりました。どうか幸せになって欲しいと願わずにはいられない、健気でいじらしい笑顔がとても良かったです。

お洒落なお店に気後れして物陰に隠れてしまったり、何かと言うと自分を卑下してしまう様子から、八重子が置かれている過酷な状況が伺えて胸が痛くなりました。再会当初は俯きがちだった顔が、コーちゃんと過ごすうちに昔のような子供みたいな無邪気な笑顔に戻っていく過程が自然で、八重子にとってコーちゃんの存在が生きる糧なんだな、再会を本当に楽しみにしていたんだなということが伝わってきて二人の友情に本沸かした気持ちになれました。

越路吹雪の親友・八重子を演じている市川由衣さんがすごく好きです。越路吹雪に比べると貧乏だったり家族に不幸があったりと、恵まれていない境遇の中でも笑顔で暮らしている八重ちゃんの姿が印象的です。吹雪の活躍を自分のことのように喜ぶ八重ちゃんの姿はいつか幸せになってほしいと思わせてくれます。こんな風に感情移入できてしまうぐらい、市川由衣さんの演技は上手なのだとも思います。

家族のために懸命に働く八重ちゃん。
コウちゃんの初舞台を楽しみにしていて、やっとのことでお休みを貰って、観に行ける…と思っていたのに。
おめかしして、切符の入った封筒を抱きしめて…なのに、休みを貰えないと分かったときの、沈んでいく表情が、本当にこちらまで辛く、苦しくなりました。

コーちゃんからの手紙や貰ったハンカチを見つめる時の笑顔が、コーちゃん本人を前にしているかのような本当に嬉しそうな表情なのが良いですね。コーちゃんのことが大好きで彼女の舞台を見に行くことを励みに、日々頑張っているのが伝わってきます。

邪気のない真っ直ぐな眼差しと優しい笑顔から、コーちゃんに嫉妬することもなく本当に心から応援していることが伝わってきます。弟たちのために学校にも進まず一生懸命働く姿を見ていると、つい応援したくなる健気さが感じられるところも良いと思います。