アイのない恋人たち

無駄に声のでかい雄馬はデリカシーがなさそうで苦手だし、すぐギャンギャンいう奈美も苦手。多聞は拗らせてるし栞のお父さんが急に真顔で本音を喋りだした時には怖すぎた。良かったところは愛が振られるシーンぐらいかな。絵里香と結ばれるのは想定内だったけど、いきなり愛してるはないわ。愛してるって付き合ってもないのに言える言葉なのかね？とにかく出てくる人物がいちいちダサくてカッコ悪い。人間こんなもんなんだろうけどなんだかパッとしなかったな。

こういうどんなダメな親でも親は親だから許せっていうのはやめて欲しい。そんな簡単な話じゃないし、簡単に切れない縁だから困っている人も山のようにいると思う。好き勝手に家族を捨てたのに困ったら助けるなんて無理でしょ。夫婦は別として子供としたらしんどいしかないわ。多分そんな困った親族がいない人がだって家族じゃんみたいなノリで作らないで欲しい。多聞と栞の恋愛が1番良かったかな。あの多聞が長野まで行っただけでも感動した。あの恋は本物だわ。

真和って冷たいのかと思ったけど結構いい人だよね。付き合ってるんだかなんだか分からない絵里加の家庭の問題にも果敢に入ってきてくれるんだから。絵里加の兄だって親とも妹とも膠着状態で後にも先にも進めず苦しかったのだろう。家族で支えるには限界があるよね。こんなところに入ってきてくれるんだから感謝しかない。多聞も雄馬も揺れ動きながら栞や奈美とまた新しい関係を作ろうとしている。なんか人間ってめんどくさいと思ってしまった。

真和が脚本家を諦めて就職活動しているところに愛と絵里加が来て責めるまではいい。夢を諦めるなというのは簡単で言いっぱなしなら言わないでくれと思わなくもないがそれは彼女達の思いだから仕方がない。ただ真和が面接でぐだぐだ自分語りをする場面には興醒め。俺何してるんですかね？みたいなことをそこで言うかね？そんなことを言い出した時点で時間を割いて面接官をやってる方もやってられなくなるでしょ。大人ならやることはやって家に帰って1人酒でもしながら呟いてほしかった。

誰も彼もが失敗せずに人生を歩めるわけじゃないからこんな時もあるよねとは思うけど、なかなか残念な人が集まっていて面白い。多聞の拗らせ具合もすごいけど本人があれだけ言い出しづらいと思っていることを気になるから教えてもらうまでは仕方ないとしても、なんで本人が言う前に言っちゃうのかな。彼女が知ってるってことは事前にそれについての会話が誰かと誰かでなされたってことで、自分だけの秘密が漏れてるのが気持ち悪いじゃん。それは気遣いだったとしても最大の失敗だったと思う。

雄馬たちの勢いははたからみたら正しくバカップル。友達は呆れるし、その勢いのまま結婚しますって言ったら親は困惑するし賛成！ってわけには行かないだろう。結婚は親や家のものではないとは思う。だけど親に報告は必要だしそこで意見をもらうことは本人達にとってもいいことだと思う。そこで難色を示されたぐらいで壊れるものならその先はやっていけないからやめて正解。雄馬たちみたいに絆が深まればオッケー。そう思うと親は一度くらい反対した方がいいのかもしれない。

なんか最近の恋愛ドラマってぱっとしないよね。貧困や虐待といった家庭的な問題とかが足を引っ張って生きるのに必死な人たちが多くてふわふわした気持ちになれない。登場人物それぞれが自分の愛を探しているようだけど、探して歩くようなものなのかなと感じる。それだけ殺伐とした世の中ってことなのかな。愛の学生時代の話は気の毒だと思ったしピアニストへの夢も絶たれたのは同情するけど、その後の結婚してからのくだりは全く同情できなくて嫌いだなと思った。

恋愛ってそのカップルの組み合わせの数だけ愛情表現があると思っているから三者三様の近づき方にすごく興味をひかれた。中でもほっこりしたのは多聞さんと栞さんのカップルだ。栞さんの言った「よく眠れない」は心のSOSだったんだよね。安心感がほしかったんだよね。それに科学的にアプローチする多聞さんは予想通りだったけど、栞さんからの言葉できちんと見直して自分から寝る前のメールを提案できたんだから大したもんだ。相手を思いやる気持ちがあれば大丈夫。いい恋愛をしてほしいな。