Destiny

何でもはっきり口にするけど、言葉や態度に湿度が一切なくて、嫌味さや陰湿さを感じさせないところが良いですね。カオリが抱えるモヤモヤをちゃんと察していたり、奏と一緒に真樹を追いかけようとした祐希を止めて二人きりにさせてあげたり、周りをよく見ていて気遣いが出来るところも、一番内面が大人でしっかりしている知美らしさがあって良かったと思います。

大学生は貫禄があって見えないなと思っていたので今の子供ありの主婦は年相応でちょうどいい。家族に一定の愛情はあるものの旦那に対してちょっと呆れがはいっていたり、自分のキャリアに対して少し寂しい気持ちがあったり、そういうところが見えるのがリアルだなと思いました。

1番常識的に見えていたので正義感がありすぎて口うるさいだけかなと思っていましたが、奏と真樹が近づきそうになるとヒステリックに近い反応を示し出す。そこで2人が近づくことが知美にとって都合が悪いのだと分かる。だんだんヒステリックになっていくところが見応えがあった。

子供との何気ないやり取りにごくごく普通の生活感が出ていていいですよね。息子との会話にほっこりしますし、なんかフワフワしたストーリー展開をしているので二人の会話でほんとに現実を生きているんだなと思うことができる。

大学生パートは田中みな実さんもそうだけど、あまりに落ち着きがあり過ぎ。当たり前だけど、どうしても大人の顔が出てくる。もちろんそこは脚本やキャスティングの問題なので役者のせいではない。大人になってからの部分は、出演者の中で一番安定感があった。役柄的に演技プランを固めやすいのもあっただろうけど、宮澤さんは役柄の感情の出し入れがうまい。安定しているからこそ不安定感を出すのにもたけている。主要キャストの中で一番よかった。