合理的にあり得ない 探偵・上水流涼子の解明

涼子を前科持ちにしたような悪巧みができるとは思えない間抜けさがある。そのことを悪いとは思っていないからか涼子のことを舐めきっているのか分からないが、涼子の前で緊張した様子が一度もなかったのが理解できなかった。

涼子のことがずっと邪魔だったと告げる時の吐き捨てるような冷たい口調と鋭い表情が印象的でした。声を荒げているわけではないのに凄みがあって、ラスボスらしい怖さと存在感がありました。久実が爆発に巻き込まれたと勘違いした時の動揺っぷりや、無事だと分かった時の心底安心したような表情、逮捕される時の「久実が生きていればそれで良い」という清々しい笑顔、娘を何より大切に思う父の顔が多く見られたのも良かったと思います。

涼子に言われた通り、しっかり手土産を持参し、甘いものが苦手な涼子のためにわさびプリンを選んでい抜かりの無さが諫間の有能さを感じさせました。得意げな勝ち誇ったような表情や口調も「絶対に文句は言わせない」という諫間のプライドの高さが感じられて良かったです。ラストで見せた鋭い表情も、ラスボスとしての存在感バッチリで格好良かったです。

就職先候補を勝手にピックアップしてきたり、心配で涼子の事務所まで押しかけてきたり、口調や態度は高圧的で厳しいけど、娘が心配でたまらないという気持ちが溢れ出ているところが良かった。干渉し過ぎたことをちゃんと謝る姿や、久実に素直に「ごめんなさい」と言われた時のちょっと照れくさそうな表情など、社長でも涼子の因縁相手でもない普通のパパの顔が見られたのも新鮮で良かったです。

食欲旺盛な久実に「そんなに急いで食べるんじゃない」と優しく注意したり「食事はちゃんと摂れているのか」と気に掛けたり、何だかんだ娘のことをちゃんと心配する父親の顔が見られたのが良かったです。涼子との因縁について語る時も言い訳じみた感じや後ろめたさが一切なく、涼子側からすると冷酷な裏切りのようにも見えるけど、社長として当然の対応をしたんだろうなという説得力が感じられました。貴山の名前を耳にした時の表情の表情の変化も意味深で印象に残りました。

娘の安否よりも会社の株価を優先する冷酷さや、父親の代から散々世話になった涼子を即座に切り捨てる薄情さなど、何があってもブレない利益最優先な姿勢がいかにも主役の敵役って感じで良いですね。娘が行方不明なのにさほど心配した様子もなく、どこか他人事のような距離を感じさせる口調も印象的でした。涼子がこの案件を必ず引き受けると確信している姿も、互いに何でもお見通しという二人の関係の深さを感じさせて良かったと思います。

「君には失望した」と涼子を一瞥する時の冷たい視線が印象的でした。金輪際、自分とは関わるなと警告しているような圧と壁を感じさせ、二人の確執の根深さが伝わってきました。怒鳴るわけでもなく、静かで落ち着いた口調なのに凄みがあって怖いところも良かった。冒頭ほんの数秒の出番でしたが、存在感抜群だったのもさすがです。