おっさんずラブ-リターンズ-

最終回は春田・牧だけではなく、武川や舞香、和泉など、メインキャストほぼ全員と絡んでいつも以上にやりたい放題騒いでいてめちゃくちゃ面白かったです。病室のベッドでのそれぞれとのやりとり、互いに遠慮のないアドリブ合戦続きで見応えがあり、最終回のしんみりモードが吹き飛ぶくらい沢山笑わせてもらいました。隙あらば春田に抱きついたり隣に座ったり、春田のことで相談に来た牧にマウント取ったり、最後までブレない春田への愛の強さも黒澤らしさ全開で良かったと思います。

辛さを堪えて粛々と終活を進める姿が切なかったです。牧に春田のことを託す時の深々と頭を下げる姿や真剣な表情も、春田への愛の深さと牧への信頼が感じられてグッときました。牧とキッチンで突き飛ばし合ってドアを破壊してしまうシーンや、春田との号泣やりとりなど、しんみり切ない中にもいつも通り、それ以上のパワフルで自由な黒澤ワールドが観られたのも良かったです。

テンションの高いやりたい放題な演技に目がいきがちだけど、不甲斐ない自分を責めるちずを優しく励ましたり、切ない片思いをする六道に寄り添う姿など、黒澤の温かくて懐の深い人柄が感じられるシーンもグッときて心に沁みます。弱っている時や迷っている時に、あんなふうに心を寄せて貰えたら気持ちが落ち着くし心強いだろうなあ。蝶子との気負いのないリラックスした空気感も心地よかったです。

春田の衣装選びの時のハイテンションぶりが楽しい。着替えて登場するたびにめちゃくちゃ褒めてくれるし、目を見開いたり頭を抱えたりとリアクションもやたら大きいし、スマホで連写しまくったり、姑や元上司を飛び越えてベタ惚れの新郎みたいな反応になってしまう姿が黒澤らしくて良かったです。見ていて面白いんだけど、春田への変わらぬ想いが溢れていて切なくもあり、コミカルな場面だけど胸に迫るものもあってとても見応えがありました。

5話は最初からずーっとテンション高くていつも以上にやりたい放題だったけど、場面ごとの撮影とはいえ、同じテンションを保ち続けて全てのシーンに全力投入出来るパワーが凄すぎる。特に旅館での乱闘シーンでは一番年長者なのに誰よりも大きな声で一番動いて暴れまくっていて、画面の端にいようが見切れていようが、お構いなしに次から次へと色んなことを繰り出すから目が足りなかったです。どさくさに紛れて春田に抱きついていたり、旅行から帰ったあとも春田の写真を眺めて「かわちい～」って可愛さに悶えていたり、姑気分どこ行った？ってくらい春田ラブが再燃しているところも面白かったです。

六道から秘密を打ち明けられた時の反応がテレビサイズの芝居じゃなくなっていて、めちゃくちゃ面白かったです。声もリアクションも大きいし、他局のVIVANTを連発しまくるし、信じられない事実に興奮して気持ちが抑えられない様子を全身で表現していて、そのエネルギーに圧倒されました。あのやりたい放題からシリアス気味の普通の芝居に違和感なく自然に戻すところも凄いです。

W不倫を疑って調査するシーン、ほぼずっと一人芝居のような感じだったけど全く飽きさせずに場を持たせるところが凄い。叫んだり嘆いたり苦悶したりとコロコロ変わる表情や声音が見応えがあって面白かったし、不倫疑惑が晴れて安心して大泣きするシーンなど、コミカルで笑えるんだけど、春田と牧を心から心配する気持ちや愛情もちゃんと伝わってきて、ただ笑えて楽しいだけではない心に沁みるようなグッとくる場面になるところもさすがだなと思います。

牧との嫁姑対決がめちゃくちゃ面白かったです。台本を感じさせないやりたい放題で自由な感じ、最高でした。嫌味の言い方もにこやかだったり、突然声を張ったり、囁くような小声だったり、緩急自在な声音と表情の変化でマンネリ化させないところもさすがだし、ほぼ乱闘では？というキッチンでのやりとりも迫力あって見応えがありました。蝶子さんとの元夫婦同士の穏やかでほのぼのしたやりとりも良かったです。

相変わらずのハイテンション＆コミカルな芝居が「おっさんずラブ」戻って来たなって感じで良かった。ただ賑やかなだけではなく、春田の優しさや笑顔にときめいたり、気持ちを抑え込んで苦しそうだったり、ふとした表情の変化や潤んだ目に春田への想いを滲ませて切ない乙女心を丁寧に表現しているところもさすが。牧へのピリピリした態度や視線が、今後の波乱を予感させるところも良かったです。