警視庁アウトサイダー

チカを殺害するシーン、ためらいがちな様子から徐々に火がついてめった刺しにする様子がゾッとするほど怖かったです。ヒステリックというより、静かでジトっと湿度の高い嫉妬や恨みがあの短いシーンでも十分伝わってくるのも凄かった「自分だって雄一を守れる」という妻としてのプライドと愛も伝わってきて、やり方は完全に間違ってるんだけどちょっと切ない気持ちにもなりました。

小山内と有働の会話を立ち聞きしている時の感情の読めない表情、折原について調べている時の不審そうな顔、小山内が何か企んでいるのではないかと不安になっている様子が表情だけでも十分伝わってきたのが良かったです。心当たりがあって不安なのか、全く与り知らぬことなのか、どちらとも読めそうな絶妙な表情を浮かべていたのも上手いなと思います。

年配の政治家たちに絡まれる雄一を心配そうに見つめる姿が印象的でした。不安そうな佇まいや、自分が言われているように辛そうに表情を崩す様子が、普段のシャキっとした隙のない姿とは別人のようで、雄一のことが本当に大切なんだなと響子の愛情の深さを感じることが出来ました。

講演をする小山内の横でにこやかに彼を見守る姿、ピンと背筋の伸びた立ち姿、決して出しゃばらないけど控えめ過ぎず、写真撮影に応じたり真由とも気さくに会話したり、絵に描いたような「良き妻」っぷりが似合っていてとても良かったです。小山内に色紙や本を手渡す時の手の添え方が丁寧で綺麗なところも、響子の育ちの良さや意識の高さを感じさせて良かったと思います。

明るい笑顔が素敵で品もあって、ほんの数秒の出番でも良き奥様っぷりが感じられたのが良かったです。ご飯にするかお風呂か、なかなか決められない雄一に笑ってしまう姿も、愛しさが感じられて、夫婦仲が円満なことが伝わってきました。響子の存在が雄一の「理想の政治家」っぷりを際立たせていたのも良かったと思います。