パリピ孔明

別れを予期してことあるごとに目を潤ませたり、声を震わせる人間味溢れる姿が良かった。いつも堂々としていて頼もしく、英子の成功や陰湿な妨害への怒りなど、喜怒哀楽はほぼ英子のためという場面が多かったので、「離れるのが寂しい」という自分自身の感情を露わにするところが新鮮で、それだけ強い思いを持って英子の軍師を務めてきたんだなとグッときてしまいました。ラスト、戻らなくて済んだ時の心底嬉しそうな笑顔や笑いが止まらない姿もチャーミングで良かったです。

向井さんの新境地ともいえるものかもしれません。コメディとシリアスの微妙なラインをうまくバランスをとった絶妙の演技だったと思います。これ以上真面目過ぎても、緩すぎてもダメだったでしょう。そもそも原作だともろに孔明そのものなんだけど、向井版の孔明は見た目はそれっぽいけどどこか偽物くささがある。その胡散臭さがドラマとしてはちょうど良かった。このところ悪役とか、性格の悪い役が多かった向井さんも、こういうコメディ路線がいけるとなると、更に出演作が増えるかもしれませんね。

「我々は降りかかる火の粉を払うまで」と力強く宣言する頼もしさ、ダイナーが仲間になりたいと言い出した時のしたり顔やオーナーとの意味深なアイコンタクト、先の先まで読んで行動する孔明の賢さや戦い慣れした肝の据わりっぷりが随所で感じられるところが名軍師の説得力があって良かったです。KABEと喧嘩した後、辛そうにため息をつく姿も、計画の一部の芝居とはいえ、心にもないことを口にしてしまった後悔やしんどさが感じられ、孔明の人柄の良さやKABEとの絆が伝わってきて良かったと思います。

過去を語る小林とのシーン、とても良かったです。なかなかハードな過去話だったけど、感情を表に出さず穏やかな表情でただ静かに話を聞く姿が孔明の誠実さと聡明さを感じさせました。他人の過去についてあれこれ言う権利なんて誰にもないですもんね。その弁えた謙虚さが孔明らしいし、何も言わずそのままドンと受け止める器の大きさや包容力が格好良かったです。

憧れだった桃園の誓いが出来て感慨深げにウルウルしていたり、賃貸を断られて泣いてしまったり、懐かしそうに肉まんを頬張ったり、何でもできる完璧な軍師とはまた違った、チャーミングで人間味あふれる姿が素敵でした。孔明の扮装のままボーリングするシーンもシュールで面白かったです。頼もしくて格好良いところと、大真面目ゆえにクスっと笑えるコミカルさのバランスが絶妙で、衣装の着こなしも含めハマリ役だなと思います。

「お披露目の時です」と堂々と宣言して英子の背中を押す姿、すごく頼もしくて心強かったです。英子の歌なら絶対に大丈夫っていう自信と確信が伝わってきて、そのブレない相手を信じる力と真っすぐさにグッときてしまいました。ステージに立つ英子を見守っている時の潤んだ目や満足げな穏やかな笑みもとても良かったです。

お経ラップの時も、それ以外の時も、淡々と話しているのに説得力があって聞きやすいし聞き取りやすい。とんでもなく違和感だらけの格好をしているのに、どれも不思議と馴染んでいてそれが驚き。

スーツを着て敵陣に潜入しているのに首から上は孔明のままっていうシュールな姿が面白かったです。相手が誰であろうと常に自信満々で、その自信が過信に見えない聡明さや勝負強さを感じさせるところも孔明らしくて良いですね。英子の歌の素晴らしさに全幅の信頼を寄せていてブレないところも素敵だし、夢が叶うか不安な時にここまで自分の歌に惚れ込んで応援してくれる人がいてくれたら心強いだろうなあって思います。

お経ラップすごかったですね。ラップってそういうものじゃないでしょって思うけど、誰の意見も聞いてない。ただカベさんに届けばいいと思っている言葉の数々が熱かったです。向井さんの声もすごくいいですよね。全てのセリフが聞きやすくて素晴らしいなと思いました。

お経ラップすごかったですね。ラップってそういうものじゃないでしょって思うけど、誰の意見も聞いてない。ただカベさんに届けばいいと思っている言葉の数々が熱かったです。向井さんの声もすごくいいですよね。全てのセリフが聞きやすくて素晴らしいなと思いました。

お経みたいなラップ、最高でした。あんなガンガンに音楽かかってる中でリズムに乗らずに淡々と語るって逆に難しそうだけど、言葉一つ一つが聞き取りやすいし、リズムには乗ってないけど毎フレーズしっかり自分の尺に収まるように喋るスピードを緩急つけてコントロールしているところも凄くて、こんなところでも孔明の有能さを発揮しているのが面白かったです。

ハマってますね。とても孔明っぽい。大事なところは「孔明そのもの」ではなく、「孔明っぽい」ところ。つまりちょっと嘘くさいというか、本物過ぎず偽物感があるのが逆にいい。マジすぎると笑えないし、外れすぎてもしらける。向井さんはまさにちょうどいい。完全にキャラものと言えるので、演技力うんぬんよりもハマっているかどうかが大事。その点、向井さんは完璧に近い。ここまでハマるとは想像していなかった。向井さんの新境地になるのでは？

こんなに異次元のキャラが似合うなんて思ってなかった。堂々と馴染んでいるからこっちがおかしいのかとさえ思ってしまう。バリバリの2枚目も似合うけど、ちょっと抜けてるくらいの方が魅力的なんだなと思う。コインランドリーでふっと素に戻っていた孔明の佇まいだけでとても面白かった。

パーカー姿でコインランドリーにいる姿、シュールで面白かったです。完全に諸葛孔明ってバレてるのにきちんと着替えて身なりを整えてから改めてKABEに自己紹介する姿も、コミカルなだけでなく孔明の礼儀正しさや律義さも感じられて良かったと思います。英子のオリジナル曲を聴いた時の反応も「素晴らしかった」とシンプルなものだったけど、色んな思いが込められていてすごく深みがあるというか、心から感動して出てきた言葉なんだなと伝わってきたのも良かったです。

いつも落ち着いてなんでもスマートにこなす汗もかかない感じがいいですし、ここぞという時に勝負師のように目がギラっとなる瞬間があるのも策士の孔明ならではだと思うのですごくいいと思います。任せられる安心感がありますよね。

様変わりした現代にもすぐに馴染んで、文明の利器を使いこなして自分の有能さを存分に発揮して活躍する姿が面白くて、またそのブレなさが格好良くもあり、はまり役だと思います。本名そのままの「諸葛孔明」で不動産屋の予約をして、あの出で立ちで堂々と来店するシーンもシュールで笑っちゃいました。秘策について解説する時の流れるように滑らかな説明台詞も、孔明の賢さと自信を感じさせて良かったと思います。

低く落ち着いた声と理知的な話し方、ゆったりとした余裕のある佇まいが有能な軍師という説得力を感じさせました。豪華な衣装も品良く見事に着こなしていて、コスプレのようになっていないのもさすが。見事なバーテン姿はもちろん、孔明の姿のまま次々とお客を裁くキレッキレな働きっぷりもギャップがあって面白かったです。

いやーめちゃくちゃかっこよかった。顔もそうだし身長も高いのであれだけ裾が長い衣装も優雅に華麗に着こなせてしまうところがすごい。そして昔取った杵柄のバーテン！シェイカーをキレのある動きで振っていたのがツボでした。何事も飲み込みが早いのは孔明だもんねと納得してしまいました。