ユニコーンに乗って

実は、この会社が成り立つかどうかは森本海斗の技量にかかっていて、そんな天才は、かなりアブノーマルで個性が際立っていなければならない。そんな役どころを見事に作り上げて、且つ、見事に演じ切っていた。坂東龍汰さんはかなりの役者だと見抜きました。

海斗は海斗なりに人とうまく関わっていきたいとずっと思っていたからこそ、褒められるととっても嬉しくなっちゃうんだと思います。小鳥さんに自分の大好きなおにぎりをあげたい気持ち、それを感謝されて嬉しい気持ち、いいことをしたねと褒められて飛びあがっちゃう気持ち。曲がっているようで誰よりも素直な海斗をちゃんと表現してくれてありがとう。

教員派遣プロジェクトを見つけて嬉しそうな小鳥を微笑ましげに見ていたり、佐奈と功が上手くいったと知って喜んだり、最終回では周りの仲間のことで感情が揺れ動く姿が多く見られ、海斗の成長とドリポニへの馴染みっぷりが伝わってきて嬉しくなりました。小鳥にたらこおにぎりを買ってきてあげるシーンも以前の小鳥とのやりとりを彷彿とさせ、海斗の優しさや同期の絆が感じられてほっこりしました。メグに「海斗優しいじゃん」って褒められた時のドヤ顔もお茶目で良かったです。

結局、海斗のエピソードがこのドラマのメインだったのではないかと感じるほど、役柄にフィットしていたし、存在感がありました。登場人物のほとんどがいい人というドラマの中で、海斗の良さは「才能」以外にわかりにくい。でもだからこそ存在する彼の中の葛藤をうまく演じていたなと思います。坂東さん自身はシュタイナー教育を受けて育ったらしいですね。そのせいか「個性」というものや「フリースクール」のようなものを、よく理解しているように感じます。今後の活躍が期待できる役者さんだと思います。

ボソッと喋るセリフがいつも面白くて聞き耳を立てちゃう自分がいます。おにぎり四つにも笑いましたが頑固さは変わらないものの、それが許されることを心地よく感じていて甘えているようにも見えるのがとてもかわいくていいですね。

たらこおにぎりに釣られてメグと一緒にランチに行ったり、ちゃっかり「４つ頼みます」って小声でリクエストしてたり、功の父親が会社に見学に来た時にも挨拶代わりに手を振ってたり、以前よりもグッと会社メンバーとの距離が縮まって壁を感じなくなったのが伝わってきました。居心地よさそうにリラックスした表情をしてるしメグたちとの仕事のコミュニケーションも円滑で、ドリポニが海斗の居場所になったんだなと嬉しくなりました。表情の変化や周りとの距離感で、台詞は少なくても海斗の心境の変化や内面の成長を丁寧に表現しているところが良かったです。

ぐっと頭を抱えるしぐさや手のひらをぎゅっと握りながら自分の居場所はここしかないんだと耐えている様子がとても痛々しくて心の痛みが伝わってくるようでした。韓国名には驚いたけど、髪型や真っ黒いマニュキュアなど言われてみればそうかと思う演出が光りました。

心を閉ざして佐奈たちを拒絶するところから、徐々に心が動いて小鳥からのLINEに背中を押されてドリポニの面接にやってくるまでの迷いや葛藤、覚悟が表情の変化だけでしっかり伝わってきたのが良かった。顔をあげてメンバーを真っすぐ見据えながら自分自身についてやスタポニに救われたこと、また一緒に働きたいことを素直に話す姿も、佐奈に「また一緒に働こう」と言われて泣きながら頭を下げる姿も、初めて本当の森本海斗という人物が見られた気がしてグッときました。小鳥から皆とお揃いの鉛筆を貰った時の嬉しそうな笑顔もとても良かったです。

次郎に裏切りを責められてパニックになる姿が印象的でした。過呼吸になって怯えるように震えていたし、フラッシュバックした時も辛そうに目を閉じていたし、何かトラウマがあるのかなとまだまだ秘密がありそうなミステリアスさがありました。平然といつも通りドリポニに出社してくる様子を見ても、もしかしたら裏切ったのは彼じゃないのでは？という気もしてきて、台詞は少ないけど相変わらず存在感があってストーリーの良いスパイスになる演技を見せてくれていると思います。

凛花のSNSの写真と実物を見比べる姿が、海斗の意外とミーハーな一面を垣間見れて良かった。目を見開いてマジマジと見比べる様子が「初めて有名人を見た！」みたいなピュアさも感じさせて親近感がわきました。普段から挙動が独特で変わってるけど、そんな中でも「何か普段と様子が違うかも…」という空気を匂わせる繊細な演技もとても良かったです。せっかくドリポニに馴染んでいたのに本当に裏切り者だったら悲しすぎる。誤解であって欲しいです。

功に「海斗に任せる」って言われた時の嬉しさを隠しきれていない弛んだ口元や、皆がバテる中、脇目も振らずに仕事に取り組む集中力、完成した途端にデスクに突っ伏して寝てしまう姿など、天才エンジニアのプライドだけではない、ドリポニの一員として必要とされている喜びや責任、達成感などが少ない台詞の中でもしっかり伝わってきたのが良かったです。決勝前の声掛けでも、冷めたふうを装ってたけどちょっと嬉しそうに繋いだ手を見たりしていて、海斗なりにグッときているのが感じられてほっこりしました。

手土産のクッキーをひたすら食べ続けてたり、次どれ食べようか目移りして選んでいたり、小鳥の誤爆を見て奇声をあげて笑いだしたり、台詞も出番もさほど多くはないし淡々としたキャラなのに、役作りが徹底していてインパクトがあり良い味出してると思います。変わり者だけど何だかんだ会社にも周りのメンバーにも馴染んで溶け込んでいる姿も海斗の内面の成長が少し感じられて良かったです。

1人の世界が好きなように見えて人の恋愛事情をストレートに聞いたり飲み会にちゃんと最初から参加したり、だんだんかわいらしく見えてきた海斗くん。飲み会参加のことをいじられて膝を抱える姿がとてもかわいらしかったです。

飲み会にもちゃんと参加するし、功に「すごいな」って褒められた時も嬉しそうにニヤけてたし、「サボリーマンしてました」って小鳥の写真撮って皆に報告したり、相変わらず淡々としてクセが強めだけど、面接時とは比べものにならないくらい周りとコミュニケーションを取っている姿が良かったです。コミュニケーションが苦手ってキャラは保ちつつ、会社にもメンバーにも馴染んできた様子が自然と伝わってきたのが良かったと思います。

こういうコミュニケーション障害のある人の役、難しいと思うのですが、表情の殺し方なんかとてもうまいですね。この先、このドラマにどういう関わり方をするのかとても興味が出てきました。

クセありまくりのプログラマー、技術は超一流だけどコミュニケーションに難ありですね。表情は常に変えないけれど、その分熱くなるとおしゃべりが止まらなくなるのね。栗木さんとの相性がとても良さそう。二人の掛け合いが楽しみだな。

聞き取れないくらいの小声＆超早口な自己紹介やPR、笑っちゃいました。コミュニケーションが苦手だけど自分の能力はアピールしたいっていう森本のちょっと面倒くさそうなキャラがよく伝わってきました。面接で小鳥が喋っている時は貧乏ゆすりしたりエアータイピングしてたりと落ち着かないところも、人が話している時にどう振る舞えば良いか分からない感じや神経質そうな性格が感じられて良かったと思います。