フェルマーの料理

海との再会シーン、「ずっと心配してたんだぞ」と眉間に皺を寄せて絞り出すように話しかける姿が印象的で、無事な姿を見られてホッとしている気持ちや、体調への不安、何も言わずにいなくなったことへの悔しさなど、海を大切に思うからこその色々混じり合った複雑な思いが伝わってきたのが良かったです。岳の横で調理のサポートをする姿もめちゃくちゃ頼もしい。布袋がいれば何とかなりそうっていう統率力と安心感もさすがでした。

暴走する岳に何度も歩み寄って、何とかメンバーをまとめあげて厨房を回そうと尽力する姿が頼もしくて格好良かったです。岳の言葉に厨房がピリつくたびに周りに目を向けたり、仕切り直しするように大声を出したりと常に気を遣っている姿も印象的で、場面にはなかったけど、きっと岳がいない場所でも他のメンバーを宥めて説得して、Kを守るために必死に頑張っていたんだろうなと感じられるところも良かったです。

どっしり構えた頼もしい布袋の存在が「海がいなくても何とか回せるかもしれない」という希望を持たせてくれます。岳に指示を出された時のこれまで以上に力強い返事も、不安を抱える岳にとっては心強くて安心出来るだろうなと布袋の気遣いを感じさせました。変貌した岳が鍋を放り投げた時、一瞬唖然としつつもすぐに空気を切り替えて皆の集中力を切らさないようにする姿も、厨房を取りまとめるスーシェフらしさが感じられて良かったです。

岳に追い越されてモヤモヤを抱える孫六たちの気持ちを慮って励ましたり、落ち込む岳の胸ぐらを掴んで「こもまま終われば負けだ」と鼓舞するなど、戦場のような厨房での見事な舵取りだけでなく、仲間たちのメンタル面もサポートする姿がベテランらしい頼もしさや兄貴分な性格を感じさせて格好良かったです。「もう１度本物のシェフに戻る」と宣言する時の、力強い声や清々しい表情がやる気に満ちていてとても良かったと思います。

「自分の力は自分で証明する」とプライドに火がついて急遽コンペに参加する姿や、仕上がった料理が完全に岳に負けていると悟った時の丸まった背中や弱々しい足取り、海の言葉に顔をくしゃくしゃにして号泣する姿、いつもの頼もしい兄貴とは違う、人間味溢れる姿が新鮮で良かったです。弱くて臆病で情けないんだけど、それを取り繕うことなく飾らずに曝け出す姿が潔くて格好良かったです。

朝倉が蘭菜のレシピを「あれくらいすぐに作れる」と言い捨てた時の表情、とても良かったです。憤りや仲間を蔑ろにされた悔しさのようなものが感じられて、蘭菜を同じ料理人として認めてリスペクトしている気持ちが伝わってきました。岳に蘭菜への協力を頼まれた時も当然のように引き受けて、すぐにテキパキとスタッフに指示を出す姿がすごく頼もしかったし、仲間を大切に思う布袋の熱い一面が垣間見れたのも良かったと思います。

調理をしながら「今日も満席だぞ」「手を止めるなよ」とスタッフを鼓舞して厨房の士気を高める姿が頼もしくて格好良かったです。厨房をまとめるのは自分だというプライドと責任感の強さが感じられたのも良かった。厳しいんだけど口調や態度に高圧的な感じがなくて、良き兄貴みたいな話しやすい雰囲気と包容力があるところも素敵です。

「岳の下なんて嫌だろ」と孫六を気遣うシーン、布袋の面倒見の良さやスタッフ一人ひとりをよく見ているリーダーシップを感じさせてとても良かったです。愚痴っぽい感じではなく、孫六の気持ちに寄り添うような静かで落ち着いた口調だったのも、スタッフ間に不必要な波風を立てないよう、孫六のプライドを傷つけないよう気遣う布袋の人柄の良さが感じられて良かったと思います。

最初の賄の時は「戦ってねえ料理はいらねえ」と怒鳴りつけて手厳しい反応だったけど、工夫をこらしたリベンジ肉じゃがの時は興奮した様子で絶賛したり「見事だったよ」と力強く握手をして笑顔を見せたりと、岳の料理への反応から良いものは良い、駄目なものはダメとはっきりした裏表のない人柄が感じられたのが良かったです。ただの怖い人ではないって分かって一気に親近感が湧きました。

嫌味だったり空気が読めなかったり、人としてどうなの？っていう役の印象が強い方だったので、頼もしいスーシェフ姿がめちゃくちゃ格好良く見えました。戦場みたいな調理場で大声で怒鳴りながら作業をする姿も迫力満点だったし、突然やって来た岳を怪訝な顔で一瞥しつつ、ナポリタンを作る姿を見て次第に驚きが混ざったような表情に変わっていく姿も、岳の並外れた才能を感じさせて良かったと思います。