グレイトギフト

白鳥の胸ぐらを掴んで「患者を救ってみせろ」と一喝するシーン、格好良かったです。顕微鏡しか見られず、気弱で他人に興味がなかった藤巻とは思えない強く逞しい姿が見られて、胸がすく思いがしました。腹を括ってからはどれだけ脅されても命の危険を感じても「これ以上ギフトの犠牲者を出さない」という信念が一切ブレないところも、元来藤巻が持っている芯の強さや粘り強さが感じられて良かった。反町さんのイメージにない役でしたが、背中を丸めた姿勢や鈍臭そうな歩き方、ボソボソと自信なさげな口調、泳ぐ視線など、細やかで丁寧な演技で藤巻のキャラクターを見事に演じていたと思います。

必死になって久留米を捜し回って身を挺して彼女を守ったり、ギフトの特効薬の効果を自身の身体で証明したり、「ギフトをこの世から全て消してみせる」と白鳥に宣戦布告したり、最終回直前でようやく格好良い姿が見られてスカッとしました。「久留米さんのことは僕が守ります」って言葉も本当に力強くて頼もしくて、今までのように「ホントに大丈夫？」っていう不安が一切なく、藤巻の強い覚悟を感じさせました。暗殺されかけたにも関わらず、琴葉の病状や神林を気遣う優しさを忘れないところも藤巻らしくて良かったです。

ギフトの欠点が何なのか興味が湧いて好奇心を掻き立てられる自分に戸惑う姿が根っからの研究馬鹿の藤巻らしくて良かった。何だかんだ白鳥の言いなりになって培養や研究を続けていたのも、妻を人質に取られていたっていうのはもちろんだけど、研究者としての抑えらえない探求心もあったんだろうなって藤巻の行動に説得力を持たせていたのも良かったです。久留米に疑念を抱き、それが徐々に膨らんで「まさか…？！」という確信に変わるまでの過程が、目の動きだけで伝わってくるシーンも緊迫感があって見応えがありました。

これ以上犠牲者を出さないという決意のもと、反撃を開始したけれど、娘の命がかかっている神林に協力を仰いだり、相変わらず嘘が下手ですぐ目が泳いだり動揺を見せたり、思慮が浅く詰めの甘さが目立つところが藤巻らしかったです。やることなすこと空回りで気の毒になるけど、これまでと違い、自分の強い意志を持って動いているから観ていてそれほど苛々しなかったのは良かった。白鳥と対峙したあと「もうコリゴリです」ってフラつく姿や、裏切った神林を責めることなく、同じ境遇になってしまったことに同情して心を寄せるなど、根っからの人の良さや気弱な性格が垣間見れたのも良かったと思います。

妻の不倫発覚と離婚話で一気に感情が爆発する姿が良かった。走りながら喚いたり、離婚届を地面に叩きつけたり、感情のまま行動する姿が新鮮で、事情を考えるとこれはこれで情けないんだけど、普段のウジウジしてひたすら耐えてる姿よりずっとマシだし、見ていてスカッとしました。妻を守るために白鳥たちの言いなりになっていてその姿に毎回苛々させられてたけど、夫婦関係が壊れた今、もうその脅しも効かないわけだし、今後藤巻がどんな反撃に出るのかとても楽しみです。

うーん、こういうキャラが見慣れないだけなのかなー。全然魅力を感じないんだよなー。うだつの上がらないダメなおじさんだとしても、どこか憎めない好きなところが見つかっても良さそうなのに、ただウジウジしててすっきりしない。自ら事件に巻き込まれていくかのような鈍臭さが嫌だ。

優柔不断で流されやすいし、すぐ他人に弱みを見せて付け込まれるし、ホント苛々するキャラクターなんだけど、４話では久留米の「亡くなった父と似てる」という発言に複雑そうな顔をしたり、舌打ちされてビクっとしたり、焼うどんを食べて笑顔になったり、オドオドだけではない人間味のあるチャーミングな顔が垣間見れたのが新鮮で良かった。あの優柔不断キャラをずっと見せられるのは苛々し過ぎてなかなかしんどいので、たまにこういうコミカルというか、抜け感のある一面を見せて貰えると嬉しいです。

オドオドした役を今まで観たことがないからかもしれませんが、役になりきれてない感じが強いです。他の役者さんが堂々と上手な演技をされているだけに、悪い意味で目立って見えます。セリフは棒読みみで、セリフを読んでるって感じで会話をしているように見えません。昔のドラマは知りませんが、顔だけは知っていて、かっこいいとは思います。長く業界にいる方でしょうに、顔だけって感じでかなり残念で見るに堪えないです。

すぐに他人を信用するし、隙だらけで思慮が浅いし、この年齢の社会人にしてはかなり世間知らずで頼りない感じで正直見てると苛々が募るけど、それも長年人との関りよりも顕微鏡と向き合って研究に没頭することを優先してきたゆえなのかなっていう説得力があるのは良いですね。研究一筋でこれまで今回のように相手の気持ちを読んで駆け引きを必要とする会話や計算して行動するような機会もなかったんだろうなあ。藤巻のキャラクターは苦手だけど、彼の不器用さや心の中に渦巻く怒りや葛藤を丁寧に演じているところはとても良いと思います。

顕微鏡がお友達な陰気なキャラが反町さんらしくないのだけれど、いそうな雰囲気で上手いなと思う。医者といいながら裏方だし、診察とか患者と多く接するわけじゃないからアレでもやっていけるのだろうな。振り回されてオドオドしている感じがとても合ってると思う。

実直で小心者ってキャラなんだろうなとは思うものの、いつもなにかに怯えていていつも小走りな印象。そんな余裕のなさそうな医師にかかるのは嫌だなとシンプルに思う。患者対応もする医師じゃなきゃ良かったのにと思う。

見ていてこんなにイライラさせられる主人公って久々かも。それだけ藤巻の優柔不断さやコミュ力の低さをしっかり演じているってことなのかな。久留米や杏梨と会話を交わす時の疑心暗鬼になってきょどったり、探りを入れたりする様子も、緊迫した中にちょっとコミカルさも覗かせてメリハリがあって良かったです。ずっと怯えてキョドってるだけじゃマンネリして飽きてしまうので、いつか逆に白鳥を脅すくらいの開き直りを見せてスカッとさせて欲しいです。

セリフのセンテンスを短くし、抑揚を抑えることでコミュ下手っぽさを出そうとしているのはわかります。けれど心の中で語られるモノローグはそこそこ饒舌です。それはそうで、たとえばどんなに無口な人だって、心の中ではいろいろ考えている。つまりコミュ下手というのはあくまでも対人関係のもの。心の中の饒舌と表面上のコミュ下手、その差をどう見せるかが、この役の見せ所です。しかし残念ながら、単純にコミュ下手という形だけを追った演技に感じてしまいます。コミュ下手のわりに堂々としているしね。実は白鳥を主犯に仕立てる策士だったら面白いんだけど。

ボソボソとはっきりしない話し方や俯きがちな顔、猫背気味な立ち姿、優柔不断で他人とコミュニケーションを取るのが苦手という藤巻のキャラクターがしっかり伝わってくる演技が良かった。スタイリッシュな大人の男性というイメージが強い方なので、同期や上司に蔑ろにされる情けない姿や格好良さを封印した芝居も新鮮で良かったです。脅迫という卑怯な手を使ってまで妻を助けようとするくらい愛が深いのに、それが妻にも娘にも全く伝わらない不器用さも、もどかしくて切なかったです。