光る君へ

道長に「女子の心をお考えになったことがあるのか」と指摘したり、「この婚儀は誰も幸せにせぬと胸を張って断るが良い」と告げる姿がすごく頼もしくて格好良かったです。時代的に仕方のないことだけど見ていてモヤっとすることもあるので、ここまではっきり言ってくれてスカッとしました。即位式での凛とした姿も美しく、国母としての威厳と気高さを存分に示していたと思います。

真っすぐ前を見据えて話す姿や、包容力を感じさせる穏やかな微笑み、少しトーンが低くなり深みの増した声音、時の流れとそれに伴う彰子の内面の変化、成長が感じられる細やかなお芝居がとても良かったです。敦康親王の「太い芯をお持ちになっている」という言葉に説得力がありました。「それはお褒めの言葉ですの？」と敦康親王に訊ねる時のおどけた表情や、2人で笑い合う姿も微笑ましくて良かったです。

「帝と歌を交わし合いたかった」「笑い合いたかった」と目を潤ませる姿が、帝を失った喪失感と深い悲しみ、変わらぬ愛情を感じさせて切なかったです。少納言の態度や発言に怒りもせず、狼狽えもせず、眼差しは悲しげだけど表情を変えずに受け止める姿も、彰子の成長と元来持つ器の大きさを感じさせて良かったと思います。

敦康を天皇にできなかった時、初めて感情を高ぶらせて道長に抗議するシーン。仰せのままにと寂しげに言っていた姿とは打って変わって強い怒りを感じることができた。その熱量が一条天皇と同じなのが夫婦として歩んできたことを思わせてとても良かった。

道長に対して感情をあらわにして激怒する姿が、状況や心情を思うと相応しくないかもしれないけど、彰子の成長を感じさせて感慨深かったです。帝の気持ちを慮るのはもちろん、実子の敦成だけでなく、敦康親王のことも本当の息子のように大切に想っているんだなと、中宮として母としての深い愛情が感じられたのも良かったです。

「宿命に逆らわず、その中で幸せになれば良い」と妹にアドバイスするシーン、言葉にも表情にも実感がこもっていて説得力がありました。ボヤく妹を優しく宥めて諭すお姉さんな姿も新鮮で良かった。まひろとの勉強シーンで見せるワクワクした表情や嬉しそうな笑顔も、学ぶことが楽しいって顔にそのまま出ているようで可愛らしかったです。

親王とのやりとり中にチラっと道長の様子を窺ったり、元服する姿が見たいと説得したり、要所要所でもしかしたら親王の気持ちに気付いているんじゃないかなあって感じ取れる演技が彰子の聡さを感じさせました。敦康親王を宥める時の母や姉を思わせるような口調も、彰子なりの親王との距離の測り方を感じさせて良かったと思います。

お慕い申し上げていますと帝に言う時は止められない自分の感情やこんなことを言ったらどうなるのかと不安も入り混じった表情をしていたけど、寵愛を受けてからは帝の一挙手一投足にピタッと寄り添うように動いたりすぐに反応できるように変わっていく。関係性を考え演技を変えていくところがいいなと思った。

帝に献上する冊子を作っている時の楽しそうな様子や、帝にお渡しする時の緊張と不安が入り混じった表情、喜んでもらえた時のホッとしたような嬉しそうな笑顔、表情や仕草一つ一つに帝への愛が滲み出ているのが微笑ましくて可愛らしいです。盗賊が来た時の毅然とした態度や肝の据わりっぷりも、母となった彰子の内面の成長ぶりを感じさせて良かったと思います。

帝を驚かせたいからと、帝がお好きな書物を内緒で学びたいとまひろにお願いする健気でいじらしい姿が可愛らしかったです。自然な笑顔を浮かべることが多くなったし、表情も以前よりずっと豊かになっていて、帝に愛されているという喜びが滲み出ているのも良かった。出産後、愛しそうに我が子を見つめる穏やかで優しい笑顔もとても良かったです。

いつも置き物のように静かで自分の言葉を閉じ込めているように見えた中宮がついに帝に告白？！思いが溢れすぎちゃって号泣する場面に良かったねーともらい泣きしてしまった。号泣するほど思っていたなんて帝は嬉しかっただろうな。

帝に「お慕いしております」と告白するシーンが印象的でした。涙をポロポロ流して声も普段とは比べものにならないくらい強くはっきりとしていて、その感情剥き出しな人間臭い姿が普段の大人しいお人形のような姿とは別人のようで、帝への想いの深さと真の妻になりたいという強い願いが感じられて良かったと思います。

いつまでもつまらなそうな顔から変わらない彰子はとても心配になりますが、親王様に見せる笑顔がたまらなくかわいらしくてその笑顔を帝にも見せてあげて！と願ってしまう。使い分けがうますぎるから帝に伝わらない！とヤキモキしてしまいます。

まひろの局を訪れ、「光る君が何を考えているのか分からない」「物語の面白さが分からない」と率直な感想を口にする姿が、まひろを信頼して慕い始めていることや、帝が物語のどこに魅力を感じているのか知りたいといういじらしさが伝わってきて良かったです。親王と楽しそうにお菓子を食べたり、病にかかった時に背中を擦ったり薬を飲むのを手伝ったりとお傍に寄り添ってかいがいしくお世話をする姿も、親王を大切に思う彰子の愛情が感じられてとても良かったと思います。

「内緒」って囁いてこっそり親王様にお菓子をあげたり、２人でニコニコ微笑みあったり、可愛らしい笑顔が沢山見られたのが新鮮で良かったです。「帝がお気に召された物語を知りたい」「私も読みたい」とまひろにはっきり意思表示する姿も、帝を慕う気持ちと、この人になら自分の思ってることを素直に伝えられそうというまひろへの信頼の芽生えを感じさせて良かったです。

皆が逃げまどう大火事の中でも、帝の身を案じて一人では逃げようとしない姿が、彰子の帝への想いと芯の強さを感じさせました。奥ゆかし過ぎると心配されていたけど、心の奥底にはちゃんと自分の想いと意志があって、それが非常時でも決してブレない強さを持っていることが感じられたのも良かったです。

道長に「父上と母上はどうかなさったのですか？」と訊ねるシーン、話しかける前の意を決したというような表情や不安げな眼差しが、両親の不和を案じる娘としての思いを感じさせて良かったです。無口で控えめな彰子が勇気を出して問うくらい、道長と倫子の関係が冷え切っているんだなと感じ取れたのも良かったと思います。

敦康親王との初対面はドキドキしましたが、物怖じせずポンと膝に乗ってくる幼児に驚きながらもふっと表情がほころんだところがすごく良かった。愛情全開にはならずちょっと驚いているのも10代の女の子っぽくて良かったです。

敦康親王が膝に乗ってきた時の驚きと嬉しさが入り混じったような笑みが良かった。普段、つまらなそうな浮かない表情ばかり浮かべているので、初めて穏やかな心からの微笑みが見られてホッとしました。微笑みの控えめさも、感情を表に出すことに不慣れな彰子らしくて良かった。養母となることで少しずつ彰子も変化していくんだろうなと、どんな姿を見せてくれるのかこの先の変貌ぶりが楽しみになりました。

なかなか噛み合わない帝とのやり取りにハラハラさせられた。表情が乏しく何をどう思っているか知りたくてしまいには帝がウズウズを通り越してイライラしないかとヒヤヒヤしてしまう。これからどう化けるのか楽しみでもある。

帝に「笛は聴くもので見るものではありません」とはっきり口にする姿、見ていてハラハラしたけど、普段何事にも無関心で「仰せのままに」しか言わない姿をずっと見てきたので、初めての自己主張が鮮明でより印象深く感じられたのが良かったです。帝が思わず面食らい、中宮一筋の心にどのような感情であれしっかり爪痕を残す説得力があったのも良かったと思います。

赤染衛門から所作や目線の配り方を指南される時のぎこちない動きや、花を目にした時の「わあ、綺麗」という見事な棒読みなど、彰子の感情を表に出すのが苦手な内気さや、まだまだ幼い子供な様子を丁寧に演じていて、観ているこちらも「大丈夫かしら」と親戚のような気持ちで手助けしたくなるような雰囲気を醸し出していたのが良かったと思います。猫を撫でている時に見せる穏やかな笑みが可愛らしく、猫好きの倫子さまの血が感じられたのも微笑ましかったです。

小さな声や、不安そうで今にも泣きだしそうな表情が幼さと彰子の内気な性格を感じさせ、ちゃんと10代の少女に見えたのが良かった。そっと丁寧に扱わないと壊れてしまいそうな脆く儚い雰囲気もあって、道長や倫子が頑なに入内を拒否する説得力があったのも良かったと思います。

あまり言葉が達者ではないという設定と見た目の細さにも助けられたとは思うが、不安気な所在なさげなところがいきなり大人の世界に飛び込まされた12歳の少女に見えなくもない。すごいと思った。定子にご執心の天皇にどれだけ近づけるのか今から楽しみだ。