星降る夜に

深夜と彩子の家を整理するシーンが良かった。もっと感傷的になったり深夜の悲しみに寄り添ったりすると思ってけど、落ち着いた様子でいつも通り、丁寧に真摯に作業に取り組む姿が遺品整理士としてのプライドを感じさせて格好良かったです。片づけを見守る深夜と敢えて距離を置き、思い出に浸る深夜と彩子、二人だけの時間にしてあげてるように見えたのも3人の友情と北斗の優しさが感じられてグッときました。

絡んでくる伴に「逆恨みすんじゃねえ！」って一喝するシーン、勇ましくて格好良かったです。鈴を守るように庇いながら伴と対峙するところも、娘を持つ北斗らしい母性が感じられて良かったです。そんなに刺激して大丈夫か？ってヒヤヒヤするくらい言い過ぎてしまうところも北斗っぽい。伴に言いたかったこと全部言ってくれてスカっとしました。

特殊清掃の現場の北斗さん、めちゃくちゃ格好良かったなあ。血を見ても全然動じないし、怯える男子二人を置いてさっさと中に入っていくし、「こんなんでビビんな」ってハッパかけるし、経験の豊富さと肝の据わりっぷりが頼もしかったです。伴のこととか重苦しい気持ちになるシーンもあるけど、北斗さんの豪快さと明るさが沈んだ気持ちを掬い上げてくれていると思います。

感動するシーンはたくさんあれど、1番好きなのは桜ちゃんが帰ってきて動揺して手紙を外に投げちゃうシーン。その突拍子もない行動が北斗さんっぽかったし、その後の桜ちゃんとの会話が親子そのもの。おならしたとかしないとかであれだけ笑えるならその仲は本物。いい親子だなーと思いました。

「桜が帰って来なかったらどうしよう」と不安になってお酒に逃げたり、無事に戻ってきた桜に泣きながら「おかえり」としがみつくなど、いつも以上に桜への愛情の深さが伝わってくる姿が見られてグッときました。不安や弱さを見せる姿がいつも明るくて頼もしい北斗らしくなくて、それだけ桜がかけがえのない大切な存在なんだなと感じられたのも良かったです。

普通に考えたら耳の聞こえない従業員がいるなら自分もコミュニケーション取れるように対策とかするのだろうけど、水野さんのあっけらかんとした態度に細かいことは気にしない北斗さんのおおらかさが出ていると思います。全部知る必要はないと思っていそう。必要以上に特別扱いしないところな好きです。

春のことで元気がない一星の背中を撫でてあげたり、でも余計な励ましなどはせず放っておいたり、気持ちを汲んで気遣うけど、必要以上に踏み込まない二人の距離感が良いですね。お節介な性格は一星と似てるけど、声をかける時とそっと一人にしてあげる時の分別がきちんとついていて、静かに見守ることが苦手な一星との違いがよく出ていました。

手話がなかなか上達しないけどなんとか手振り身振りと表情で乗り切ろうとしているところが北斗さんの思い切りの良さを表しているようでいいと思います。私の娘はすごくかわいいって何度も言うのも親バカっぽかったけどその後のエピソードと重ねるとすごく意味があって良かったです。

「可愛くて頭が良いの」と本人がいる前で娘自慢をする親バカっぷりが微笑ましかったです。血の繋がり関係なく愛情を注ぐ人間の大きさや温かさも、大変だった過去を微塵も感じさせない底抜けに明るい性格もとっても素敵。手話がなかなか上達しない不器用なところや、一星たちに内緒で上達したいっていう変にプライドが高いところもチャーミングで良かったです。

手話教室で雪宮と対話をするシーン、眉間に皺を寄せたり目を見開いたり、終いには立ち上がって身振り手振りを交えたり、何とか伝えたいっていう熱い思いが感じられたのが良かったです。全力投球って感じが北斗らしくて良い。「背中が痛い」と大袈裟に弱ってみせて、病欠の一星にゼリーを持って行くよう鈴に頼むシーンも、世話好きでお節介な北斗の性格が感じられて良かったと思います。

耳が聞こえないハンデがある人わ雇う時自分が完璧に手話を覚えようとする人もいるだろうけど、そんなことは気にしないところが北斗さんの大らかさを表しているようでいいです。ニュアンスで捉えて悪口を言っているとかのやり取りが面白いですね。

手話が分からないのに、一星の表情や態度で「今悪口言ったろ」って分かっちゃうところが二人の付き合いの長さや距離の近さを感じさせて良かったです。佐々木との接点にもびっくり。奥さんの友達だったのかな。昔馴染みって感じのリラックスした空気感が印象的でした。佐々木に「綺麗な顔だよ」って素直に言えるところも北斗らしいし、見つめ合うような形になってちょっとドキっとしてる姿も可愛らしかったです。

遺品整理という特殊な仕事をしながらもいつかはみんなが通る道、感情に引っ張られすぎないなどみんなのメンタルを維持する言葉がけをしているのが印象に残りました。水野さんの持つ元気なイメージやテキパキ動くイメージがうまく活かされていると思います。

明るくてノリが良くて楽しい社長さん。メンバーへの指示もテキパキと無駄がないし、言うべきことはズバっとはっきり指摘してくれて、頼もしくてついていきたくなる雰囲気があるのも良かったです。一星はもちろん、他のメンバーとの距離感が社長と従業員というより家族のように近くて互いに遠慮がないところも、北斗の器の大きさや温かい人柄を感じさせて良かったと思います。