越路吹雪物語

なんとなく見ていた越路吹雪物語でしたが、
木南さんの演技力にだんだん引き込まれ、毎回楽しみになっていきました。
その後は岩谷時子さんは木南さんしか考えられず、キャスト変更になってからは、なんとも物足りなくなったくらいです。
凄い女優さんだと思いました。

38話でコーちゃんの恋の飛脚をするシーンが良かったです。「仕事じゃないのに何でいるの？」と色んなスタッフに不思議がられるのを恥ずかしそうに、気まずそうに小さくなって歩く姿が何とも可愛らしく、コーちゃんのためにいつも一生懸命な時子の優しさも伝わってきました。

37話でコーちゃんに内藤が編曲を引き受けてくれたことを伝えるシーンが印象的でした。子供みたいに無邪気に大喜びするコーちゃんを見つめる笑顔が自分のことのように嬉しそうで、二人は運命共同体、一心同体なんだなと実感出来ました。感情の起伏が激しいコーちゃんとは違い、どんな時も落ち着いた静かな芝居をしているんですが、控え目な表情や口調でも、喜びや悲しみをコーちゃんと分かち合っていることがしっかり伝わってくる丁寧な演技が毎回素晴らしいなと思って観ています。

36話でコーちゃんに「あなたは虎」とおまじないをかけるシーンが印象的でした。落ち着いた声で力強くコーちゃんに語りかける姿が頼もしく、時子の「あなたは出来る」と確信したような表情から、時子とコーちゃんの深くて強い信頼関係が伝わってきたのが良かったです。

35話で「音を外した」と取り乱して不安がるコーちゃんを慰めるシーンが良かったです。声の感じはいつも通り穏やかでおっとりしたものでしたが、「ちゃんと歌えてた」「お客様も満足していた」とはっきりと言い切る口調に、コーちゃんを落ち着かせるだけでなくマネージャーとして「もっと自信を持ちなさい」と喝を入れているような厳しさが感じられたのが印象的でした。

34話で見せた、酒とタバコが体にも喉にも悪いと分かっているけど止められない、もどかしげな表情が良かったです。マネージャーというより母親やお姉さんのようで、スターゆえのコーちゃんのストレスと孤独感を心配して「何とかしてあげたい」と葛藤しているのが伝わってきました。飛脚姿も似合っていて可愛かったです。

33話で「愛の賛歌」を歌うコーちゃんを見つめる演技がとても良かったです。マネージャーとしてコーちゃんを見守っているだけでなく、自分が訳詞をした「愛の賛歌」を我が子のように心配していて、コーちゃんに歌ってもらえる喜びと観客に受け入れてもらえるかなという不安の両方が感じられる表情が印象的でした。

コーちゃんのマネージャーとして最初は戸惑って不安そうな表情と遠慮がちな話し方でしたが、徐々に頼りがいのあるしっかりとした表情と話し方に変わっていき、１ヶ月という月日の流れをしっかり演技で表現していたと思います。コーちゃんに歩き方のお手本を見せるシーンでは、ちょこまかした面白い歩き方を披露して、いつも真面目な時子のチャーミングな一面が垣間見れたのも良かったです。

仕事中はしっかりしているのに、コーちゃんと一緒にいる時は理事長の前なのにキャッキャと騒いでしまったり、クルクルと表情が変わって良い意味で緊張感がない態度や話し方をしていて、それが自然体で何でも言い合えるコーちゃんとの関係性を物語っているようで、観ていて微笑ましいし時子が羨ましくなります。大人になってからそこまで仲良くなれる友達ってなかなか出来ないと思うので、2人の醸し出す良い雰囲気は「運命的な出会い」に説得力を持たせてくれます。

コーちゃんを心配して彼女の意志を尊重してあげようと奔走する姿が本当のお姉さんのようで、理事長に「コーちゃんの姉です」と言う台詞にも説得力がありました。コーちゃんを諭すような台詞にも説教臭さや押し付けがましくなく、単なるお節介に見えないところも素敵だなと思いました。

賢くて真面目な女性なのに取っ付きにくかったりお堅い感じがしないのは、木南さんの持つ柔らかく女性らしい雰囲気のおかげだと思います。コーちゃんに訳詞を褒められたときの嬉しそうなホッとしたような笑顔も可愛らしかったです。

28話ではコーちゃんや3羽ガラスにお説教をしたり、編集部の戦力として活躍する頼もしくてカッコ良い時子の姿が見られたのが新鮮で良かったです。帰ってきた森に「お帰りなさい」と深々と頭を下げるシーンは、多くは語らなくてもお互い言いたいことは伝わり合っているような、温かい空気が感じられました。

２７話の森とのシーンが印象に残りました。森から心臓のことを打ち明けられた時の驚き、父親を思い出した時の切ない顔、森に自分の正直な気持ちを伝えて「ポンコツなんかじゃない」と励ます温かさと包容力。表情や声のトーン、台詞の間で時子の思いを見事に表現していたと思います。恋愛感情ではないけど森のことを大切に思っていることが伝わってきました。木南さんの演技は台詞がなくても役の心情がしっかり伝わってくるのでいつも見入ってしまいます。

26話でコーちゃんの相談に乗るシーンが時子らしさが出ていて良かったです。突然のプロポーズに戸惑ってパニック状態のコーちゃんを優しく宥めて落ち着かせ、ちゃんと自分で考えて答えを出すよう導く姿が、コーちゃんが頼りにして甘えているのも納得のお姉さんぶりでした。時子を演じている時の木南さんの落ち着いた優しい話し方が好きです。

２５話で拗ねるコーちゃんに真摯に謝る姿が印象的でした。時子は全然悪くないんですが、穏やかな口調で丁寧に状況を説明して謝る様子はまるでコーちゃんのお姉さんやお母さんみたいで、時子の懐の大きさや優しさ、どんなことにも真っ直ぐに向き合う姿勢が感じられる良い演技だったと思います。

真っ直ぐな眼差しで真剣に机に向かう姿がいつも印象に残ります。誠実に仕事に取り組む時子の真面目さが伝わってきますし、台詞はなくても読者や生徒、宝塚に対する時子の愛情が表情から感じられるのが良いですね。

２２話で森の前で酔いつぶれてしまうところが可愛らしかったです。普段は口数が少ない時子ですが、仕事への情熱や宝塚歌劇への愛情が感じられたのが良かったです。また秋子とコーちゃんが親子のように仲良くなっている姿に驚く様子も良かったです。明るくなった秋子の姿を喜ぶ気持ちと秋子の笑顔を戻してくれたコーちゃんへの感謝が伝わってくる、嬉しそうな笑顔が印象的でした。

20話で大泣きするコーちゃんをお姉さんのように優しく宥める姿が、今後の2人の関係性を物語っているようで印象に残りました。控えめで言葉には出さないけれど、相手を心配して気遣う時子の優しさが表情からちゃんと伝わってくるのが良いです。

森に「あほんだら」と怒鳴った威勢の良さはどこへやら、19話ではおどおどと森に謝るギャップが何だか可愛らしかったです。森に仕事復帰の早さを心配された時の意外そうな、ちょっと嬉しそうな表情も良かったです。時子はそんなに台詞が多いわけではないですが、木南さんの豊かな表情のおかげで地味になり過ぎず、チャーミングで魅力的な女性に見えるのが良いですね。

穏やかで大人しそうな雰囲気ですが、母を支える頼もしさや自分の意見をしっかりと持って相手に伝えられる芯の強さが感じられるのが良いですね。18話で秋子と雄三のキスをそっと見守る幸せそうな表情も良かったです。

越路吹雪といえばすぐに思い出すのが岩谷時子です。越路吹雪のマネージャーを務め、歌詞も書いた岩谷時子さん。彼女のことは以前映像で見たことがありますが、このドラマの中で木南晴夏さんが出てきた時点で、「あ、この人、岩谷時子だ」とすぐに分かりました。わたしの思い描く岩谷さんのイメージにぴったりだったんです。木南晴夏さんの演技も上手で、安心して見てられます。岩谷時子と越路吹雪が今後どんな風に関係を築いていくのか、ドラマではどんな風に描かれるのか、すごく楽しみです。

15話で先輩の森に対してビシっと意見するシーンがとても良かったです。それまでも森の発言や態度に疑問を持っているのが木南さんの演技でちゃんと伝わっていたので唐突な感じがしなかったし、遠慮がちだったのが徐々に感情が爆発して最後に「あほんだら！」と勢いで叫んでしまうまでの過程も自然で、時子の真っ直ぐさや芯の強さが感じられて良かったです。

14話でコーちゃんと一緒にサインを考えるシーンが良かったです。いつのまにかコーちゃんのペースに巻き込まれて、控えめだった話し方が徐々にタメ口に変わっていき「食べながら喋らない」とお母さんのようにコーちゃんを窘めるくらい打ち解けていくまでの演技がとても自然で、ほのぼのとした2人の雰囲気が観ていて心地よかったです。

コーちゃんにサインを考えてと頼まれた時の面食らった表情がとても良かったです。２人の性格の違いがはっきり表れていて、木南さんの表情がそんな２人が後に何故か大親友になるという展開をよりドラマティックにしてくれると思います。読者コーナーを任された時の笑顔も本当に嬉しそうで、応援したくなる雰囲気があるところも良いですね。

木南さんの気が強くてしたたかな女性役が好きなんですが、今回のような大人しくて控えめなお嬢さんの役も出来てしまうんですね。さすがの演技力だと思います。声量を抑えた優しげな話し方や穏やかな表情で、少ない出番の中でも岩谷時子さんがどのような女性なのかしっかり視聴者に伝わる演技を見せてくれていると思います。