ハヤブサ消防団

省吾を裏切り者と呼ぶのは正解ではないのでしょうね。彼は彼なりにハヤブサの行く末を考えた上でのことだったわけで、それを理解できるから消防団の連中も、彼を貶めたりはしていない。東京に出て、挫折した経験を持つ省吾にとって、故郷は自分同様に脆くて壊れやすいもので、もっと大きな力でスポイルする必要があると感じたのかもしれません。それって地方人にはわからなくもない感覚です。さて演じる岡部さんですが、どこかナイーブそうで、ついつい斜に構える雰囲気がとてもよく伝わってきます。

消防団メンバーに問い詰められても、罪悪感や焦りを全く見せず、いつも通りの気さくな語り口でのらりくらりと釈然としない説明をする姿が印象的でした。何となく様子がおかしいというか、違和感があるというか、洗脳されているような異様な空気を終始醸し出しているのもさすがだし、「王様の耳はロバの耳」と大声で叫び笑いながら自撮りする姿も不気味で怖かったです。

方言？とかもうまくてすごい引き込まれる

不穏な雰囲気の三馬と彩を見かけて「痴話喧嘩やな」「バツイチの俺には羨ましい」と楽し気にはしゃぐ姿が徳田のミーハーな性格や野次馬根性を感じさせました。皆で飲んでる時に隣の人との距離がやたら近かったり、離れた席の会話にもスッと入り込んだりと随所で見せるコミュ力の高さや、作業中に首から下げているフェイスタオルの柄が一人だけお洒落なところも、人の良いインテリキャラの徳田らしさが感じられて良いと思います。

中山田を「中ちゃん」呼びしたり、自分の動画チャンネルを登録させて動画の感想まで求めたり、翌日東京に帰ると知ると「寂しくなるなあ」と絡んだり、初対面とは思えない距離の近さや人懐っこさが、調子が良くてちゃっかりした徳田らしさ全開で良かったです。初対面の人に必ずチャンネルの宣伝してるし、「面白いものを作ってる」という自負もありそうだし、一度どんな動画を投稿しているのか徳田の動画チャンネルをじっくり見てみたくなります。

飲み会でのチャラさを見ているとただ飲み会が好きなおじさんで、消防団で消化活動をしている時は真剣で走っているところは少しもつれそうで一般人な感じもした。プロの消防士には見られない素人感がちゃんとあってすごいなと思った。

初対面の太郎とも気さくに会話したり、ハイボール奢るから自分の動画チャンネルを登録してと頼んできたり、消防団の制服を着た太郎の写真を撮りまくったり、ノリが良くてちゃっかりしたキャラクターがとても良かった。物知りだし、着ている服も呉服屋らしい粋なものだったり、他の消防団員とは違うインテリっぽい雰囲気も個性があって良かったと思います。