光る君へ

道長と行成の死を日記に記しながら静かに涙を流すシーンがとても良かった。台詞は一言もなかったし、表情が崩れることも無かったけど、言葉以上に伝わる思いがあって貰い泣きしてしまいました。ここまでコミカルな演技や迫力ある熱弁で目を引くことが多かった分、シリアスな芝居がより刺さるというか、実資の悲しみが真っすぐ伝わってくるところも良かったと思います。

三条天皇が自分を取り込もうとしても「私は私、どちらの味方ということはない」とブレないところが実資の賢さを感じさせて格好良かったです。「浮かれるな」と息子に釘を刺す姿も、周りをよく見ていて先の先まで読める鋭さと聡さがいまだ健在なことが伝わってきて良かったと思います。独特な子供のあやし方もシュールで面白かったです。

頼通に尊敬しているって言われた時の反応が面白かったです。値踏みするように頼通を見ていたのに、褒められた途端に「え？そうなの？」と満更でもなさそうなニヤけ顔になったり、やる気満々で指南を申し出たり、頼通が及び腰になるとブチ切れたり、感情が顔や態度に出まくってしまう単純さがチャーミングで、笑えるんだけど決してコントにならない絶妙な匙加減の演技がとても良かったと思います。

公任のもとを訪ねるシーンが最高でした。話すこと全部斉信と丸被りで、口を開くたびに居たたまれなさが増していく何とも言えない空気感や、動揺して目が泳ぎまくったり、気まずさを誤魔化そうと口をすぼめたりと表情も間合いも絶妙に面白くて、でもコントっぽくならずにちゃんとドラマのお芝居として成立させているのもさすがだなと感じました。

自分で屏風に貼る詩は詠まないと決めたのに、出来上がった屏風を見てみんながやるならやればよかったなーという気持ちが出ていたのがよかった。詠まないと決めたのも律儀で真面目な性格ゆえだし、揺れる気持ちも人間らしい感情だ。

結果悪口なんだけど、本人にはそのような意図はなく本当に心配していることを結構な音量で言っちゃうから面白い。嫌味がないからみんなも否定できないしね。もっと面白くできちゃうところも極力控えているように見えていいと思います。

芝居の大原則として、上手いとか下手とかいう以前に、そう見えれば正解というのがあるけど、正直なところ秋山さんは面白さはあるし、存在感はあるものの、それはちょっと「変」だからであって、役者の存在感というよりも芸人の存在感そのまま。芝居というよりもコント。奇をてらったおかしさはあるけれど、そもそも公家とか貴族には見えない。当時の貴族があんなに日に焼けている筈はないし、ごつすぎる。演出家の狙いがあるのだろうけど、ロバートのコントのひとつにしか見えない。でも目が離せないのは確かだし、不思議と馴染んでくるところもある。悪目立ちもここまでくると凄いという意味で評価したい。

天皇にお支えする高貴なお方なのに、なんでこんなに真っ黒に日焼けしてるの〜って大きなお顔がアップになるたびに思うんだけど、それにも増してあの威圧的な言動が迫力ある。
もうロバートさんの登場シーンは目が離せません。

自信に満ちた声と姿。
ロバートさんのドラマは初めてですが（すみません）とても引き込まれました。

秋山さんは芸達者ではあるがそれはやっぱり芸人としてなので、俳優としてはちょっと自分の色を出しすぎるところがあるのでヒヤヒヤ見てしまった。みんなが流れるように自然にいるのに1人だけ異物感を出してしまっていると思う。