おっさんずラブ-リターンズ-

黒澤の余命問題が勘違いだと分かるシーン、心底呆れたような表情の合間に見せるホッとしたような笑顔がとても良かったです。春田の様子がおかしい時も不本意な気持ち全開に出しつつも黒澤に相談していたし、牧の中で黒澤への感情が良い方向に変わってきているのが感じ取れたのも良かった。頑張り過ぎる春田を心配して労わる表情や、怖い夢を見て泣きそうになる春田を抱き締めてあげる姿など、年下とは思えない包容力と深い愛情を感じさせるところも素敵でした。

黒澤に味噌汁の作り方を教わるシーン、興味深そうに鍋を覗いたり、味見をさせて貰ったり、本当の嫁姑みたいな空気感があってほっこりしました。だんだんヒートアップしていって突き飛ばしあったり、挙句の果てにドアまで吹っ飛ばしちゃったり、いつものお約束展開になってるのも楽しい。黒澤の事情が分かってるから余計にこういういつも通りのやりとりがグッときてしまう。泣き出す春田を優しく抱き締めて背中を撫でてあげたり、寂しがる春田のために苦手なホームパーティーを開催してあげたり、随所で春田への深い愛情を感じさせる姿もとても良かったです。

子どもが苦手で接し方に四苦八苦しつつ、自分の抱っこで眠ってしまった吾郎を見て穏やかな表情になったり、ちずの退院の際にはちょっと寂しさを感じるようになっていたり、一緒に過ごすうちに情が湧いて可愛さを感じている姿にほっこりしました。吾郎のヤンチャさにぐったりしているシーンも、髪がボサっと乱れていたり、目がちょっと虚ろでヤツれていたり、疲労がちゃんと顔に出ているところがリアルで良かったです。

結婚式前夜の春田とのシーンがとても良かった。1日中仕事のトラブル続きでヘトヘトだろうに、必死に走って春田のもとに急ぐ姿も、そんな大変な中でもちゃんとバレンタインのプレゼントを用意するところも、泣いている春田を見て一瞬不安そうな表情を浮かべるのも、どれも春田への愛に溢れていて、その一生懸命で健気な姿にグッときてしまいました。結婚式で見せた、こちらまで温かな気持ちになれそうな穏やかで幸せそうな笑顔もとても良かったです。

旅館での乱闘シーンが凄かった。大声出して煩い黒澤にテレビのリモコン向けてボリューム下げようとしたり、春田に抱きついている黒澤に弓矢を向けたり、和泉たちまで巻き込んでプロレス技かけたり、完全にアドリブでは？ってくらいのやりたい放題っぷりが面白過ぎて目が足りなかったです。一人ひとり、固定カメラが欲しいくらい。鋼太郎さんの予測がつかない芝居にしっかりついていくスキルの高さもさすがです。

嫌だと言いつつお揃いの部屋着を着てくれたり、キスのフェイントかけたり、テレビ電話をどちらが先に切るかでモダモダとイチャついてたり、照れて素っ気なくなりつつも春田にデレる姿が可愛らしい。「浮気しちゃうかも」という春田の発言を鼻で笑ってあしらうシーンも、春田への信頼の深さが伝わってきて良かったです。

チラチラと未練のようなものを滲ませる武川に「俺の１番は春田さんですから」としっかり線引きをして期待を持たせない姿が、牧の実直さや誠実さを感じさせました。以前よりずっと、自分の気持ちや考えを素直に口に出す姿も春田との信頼関係や絆がより強く深くなったのが感じられて良いですね。黒澤が本気で自分たちの不倫を心配していたと知った時の驚きや戸惑い、嬉しさが入り混じったような何とも言えない表情も、黒澤への気持ちの変化が感じ取れてとても良かったです。

黒澤との嫁姑対決、見応えがありました。あれってどこまで台本通りなんだろう？嫌味の言い合いが徐々にヒートアップして乱闘になってしまうまでの流れが鮮やかで、ピリついた空気とコミカルさの塩梅も絶妙でめちゃくちゃ面白かったです。春田の母親をもてなすために、掃除や料理の好み、服装など細かなことを何日も前から気に掛けて準備する姿も、牧の真面目さと「ちゃんと認めてもらいたい」という誠実な気持ちが感じられて良かったと思います。春田の母親に「結婚おめでとう」と言われた時のホッとしたような、嬉しさを噛みしめるような笑顔も素敵でした。

春田と比べるとストレートに想いを言葉にすることは少ないけど、春田から電話を貰った時のフッと柔らかくなる表情や、街中でマフラーを見つけて春田を思い出す時の優しい笑顔から春田を大切に想う気持ちがしっかり伝わってくるところが良いですね。家政夫としてやってきた黒澤への塩対応や苛立ちを隠さない態度も良い感じに大人げなくて面白い。春田とのラブラブっぷりもとても自然で微笑ましくて良かったです。