クイーン・メアリー 愛と欲望の王宮 ‐決断‐

シーズン１の1話からずっとレギュラーで出演し続け、毎回熱演を見せてくれたこのドラマの功労者だと思います。目的のためなら平気で人を殺すし手段を選ばないんだけど、どこかコミカルさや愛情深さもあって憎めないキャラクターを見事に表現していました。逞しくて強いカトリーヌが好きなので、最終回の少し精神を病んだような姿はちょっと物足りなかったけど、きっとまた復活して色々やらかすんだろうなという期待が持てるところがミーガンの演技力の功績だなと感じます。

レイスの結婚を嘆くクロードを抱きしめて慰めるシーンが母親そのものの姿だったのが良かったです。同じ娘でもリーザに向ける警戒心と敵意むき出しの表情とは全然違い、温かみと包容力のある優しさが感じられ、リーザがクロードを妬み拗らせてしまうのも納得出来ました。「幸せになるチャンスはまだ残ってる」と励ます姿も、世継ぎのことなど政治的なことは関係なくクロード本人の幸せを願っているように感じられ、カトリーヌの母性が垣間見れてホッとした気持ちになれました。

ニコルからのナルシスへの贈り物を見た時の「あら可愛らしい」という微笑みが小馬鹿にしたような、見下した感じがプンプン匂っていたところがカトリーヌらしさ全開でクスっと笑ってしまいました。その後ナルシスを誘惑するシーンではナルシスの本心を知っていること、ニコルより彼を理解しているという余裕と優越感を感じさせ、久しぶりにカトリーヌのドロっとした女性の一面が垣間見れたのが良かったです。

自分の弱さを隠すためにイングランド人の首をはねたシャルルを見た時の戦慄の表情がとても印象に残りました。自分の手に負えないシャルルの暴走を恐れる気持ちと呪いをかけてしまった後悔、シャルルはもうダメかもしれないという様々な感情があの一瞬の表情から伝わってきたのがさすがです。その後、「怖い」と泣き出すシャルルを辛そうに抱きしめる姿が小さな子供を宥める母親のようで、カトリーヌが自分の野心のためでなく本当にシャルルの身を案じているのが感じられたところも良かったです。

アンリに「異端者に仕立てる」と脅す時の瞬きひとつしない眼差しが怖かったです。怒りと焦りと不安と、感情が入り混じっているようで、カトリーヌの本気を感じさせました。シャルルやクロードへの母の温かみを感じさせる態度とは全く違い、アンリを完全に脅威・敵とみなしているような冷たい表情も迫力があります。

宮廷に戻ったアンリを出迎える時の表情が、言葉とは裏腹に全く歓迎していないムード全開だったのがシャルルとアンリの確執を予見させて良かったと思います。アンリのおでこにキスをして抱きしめるときも目が死んでいて愛情が全然感じられないし、たぶんアンリもそんなカトリーヌの気持ちに気付いているんだろうなと思わせる親子とは思えない冷たくよそよそしい雰囲気を漂わせていたところもさすが上手いなと感心しました。

ノッティングゲームでのレディ・レノックスとの対決が女同士の嫌味な感じと迫力があって面白かったです。にこやかなんだけど目は全然笑っていないところが怖いし、相手にボロを出させようと探っているような眼差しが策士のカトリーヌらしくて上手かったです。ストーリーを動かしていて存在感も抜群なのにでしゃばり過ぎず、メアリーを立ててわきまえているところも好感が持てます。

リーザがスペインに戻ったからか、表情が生き生きとして明るくなっているところが分かりやすいカトリーヌらしさ全開で良かったです。久しぶりにメアリーと再会をしましたが、泣きながら抱きつくメアリーを抱きしめる姿が本当の母親のように温かくて胸が熱くなりました。「何があったの？」と語りかける姿も、全てを受け止めてくれそうな包容力が感じられ、見ている私も心強くなりました。

ニコルたちと出会ってすっかり明るくなったシャルルを見つめる眼差しが穏やかで優しく、ホッと安心しているような満足げな表情だったのが印象に残りました。フランスのことはもちろんだけど、母としてシャルルの体調や行方を心から心配していたんだなと感じられました。表情の作り方が大きくてメリハリがあるので、王太后と母の顔の切り替えが分かりやすいところも良いと思います。

23話でリーザにシャルルの秘密が全てバレてしまうシーンのミーガンの演技がツボでした。意気揚揚と満面の笑みで偽造文書を持ってきたのに一瞬でサッと絶望の表情に変わり、分かりやす過ぎる感情の変化が滑稽で、シリアスな場面なのについクスっと笑ってしまいました。こういうカトリーヌの人間くさいところをミーガンが実にチャーミングに魅力的に演じているので、やってることは相当悪いのに憎めない愛すべきキャラクターになっているのだと思います。

いつもぬかりがなく余裕のある態度のカトリーヌですが、シャルルが絡むと何とか彼を闇から救い出そうと必死で不安そうな表情になり、それが今フランスがどれだけ危機的な状況に陥っているのかを感じさせて良いですね。あのカトリーヌが余裕を無くすほどシャルルの状態が良くないのだと、事の重大さがより際立っていると思います。シャルルが民衆に襲われた時の取り乱し方もカトリーヌの母の一面が感じられて良かったです。

今までは国王としてのシャルルとフランスの行く末を心配している感じがしていましたが、22話で血だらけのシャルルを見たときの表情は王太后ではなく完全に息子を案じる母親のものだった気がします。彼に何が起こっているのか見極めようとする必死な眼差しから、どうしてやれば良いか分からないもどかしさや不安が伝わってきました。今まで見たことがないカトリーヌの姿だったと思います。

イングランドから帰国したジョンを出迎える様子が普通の優しいおばあちゃんのようだったのがとても意外で、シーズン4に入ってもまだ新たなカトリーヌの一面を見せてくれるミーガンの演技の幅の広さに驚きました。目尻を目一杯下げて愛しげにジョンを見つめる表情がとても穏やかで、ジョンの姿にフランソワの面影を見ているのかなとちょっと切ない気持ちになりました。

精神的に病んでしまい思い通りにならないシャルルへの苛立ちや焦りが、表情だけでなくセカセカとした早歩きや落ち着きのない身振り手振りで表現しているのがさすがです。敵を前にすると俄然生き生きと魅力的になるカトリーヌなので、幅を利かせてきたリーザに対してどんな仕打ちを企んでいるのか楽しみです。

天井からマルテルの死体が落ちてきた時の怖がる演技がわざとらし過ぎてコントみたいで、シリアスなシーンなのに笑ってしまいました。驚いて泣いてしまったクロードに対して「泣くのはやり過ぎ」と冷静に突っ込むところも、カトリーヌトクロードの人生経験の差というか、肝が据わっていてさすがでした。

あんなにシャルルを溺愛していたのに、敵とみなした途端、彼を見る目がゾッとするほど冷たく変わっていて、その切り替えの早さがさすがだと思いました。シャルルの前で弟を可愛がる姿もあからさまで、カトリーヌを敵に回すと恐ろしいということを改めて実感しました。

レイスたちが赤い騎士と戦う中、必死でシャルルの名前を呼んで捜す姿がカトリーヌの母親の顔を感じさせました。その直後、生き残った一味を拷問してシャルルの居場所を聞き出そうとするシーンはいつも以上に怒りと憎しみが感じられる鬼のような形相をしていて迫力があり、カトリーヌのフランス王室を守るという強い覚悟とメディチ家の誇りが感じられて、自業自得な事態なんですが「カトリーヌ、カッコ良いな」と思ってしまいました。

先週、悪事が全部バレたばかりなのに全然悪びれてないところがカトリーヌらしくて笑ってしまいました。シャルルのご機嫌を取ろうとするところも何処かよそよそしさがあり、母としてではなく摂政の座を守るため、保身のためという感じが強かったです。クロードが何故そこまで怒るのか理解出来ていないような表情が、目的のためなら娘でも何でも利用するのは当然だというカトリーヌの冷酷さをより強く印象付けていたと思います。

フランスに残るというメアリーに帰国するよう促すシーンがカトリーヌのメアリーへの愛情が感じられて感動しました。自分の国を取り戻すのよと強く抱きしめる姿は義母として、王族に生まれた女性としてのエールが込められているような温かさがあり、2人の強い絆が伝わってきました。またバッシュに絞殺されそうになるシーンの血走った眼差しや憎々しげにディアーヌを罵るシーンが迫力満点で、見ごたえのあるシーンになっていたと思います。

14話では帰国するメアリーのために豪華な衣装を用意してあげるシーンや、シャルルを心配して必死で宴の席に走り戻るシーンなど、カトリーヌの母・義母としての愛情が感じられる表情が多く見られたのが良かったです。特に毒殺を免れたシャルルをホッとした表情で力強く抱きしめる姿が、カトリーヌの母性や人間らしさをより印象強くしていたと思います。冷酷な表情と息子を思う母の顔の切り替えが見事でした。

13話で赤い騎士を拷問して問い詰めるシーンの必死の形相が迫力満点で、せっかく手に入れた摂政の座を何が何でも守ってやるというカトリーヌの凄まじい執念が感じられました。また拷問を楽しむクリストフを見て戸惑うような表情も見せていて、「あのカトリーヌがドン引きしている…」と彼の異常さがより際立ったのも良かったと思います。

11話でクリストフの脅されるシーンが良かったです。弱みを握られていること以上に、恐れを知らないクリストフのサイコっぷりに怯えている姿が印象的で、あんなに恐怖に凍りついたカトリーヌの表情を初めてみたので新鮮でした。第1シリーズからずっと出演しているキャストなのに、いまだに新たな一面や表情を見せてくれるミーガンの表現力の多彩さは素晴らしいと思います。

10話で摂政になれたことを大喜びするシーンが印象的でした。「思いもよらないことが起きた」とたまたま摂政になれたかのように大はしゃぎして喜びを爆発させていましたが、このシーンの後で全てカトリーヌの策略だったと判明するので、シレっと無邪気に喜んでいた笑顔が余計に恐ろしく感じました。カトリーヌの執念深さと権力への異様な執着を改めて実感した回だったと思います。

9話で詐欺とメアリー暗殺を企てたカルロスに何も言えないナルシスに代わって追放を言い渡すシーンがカッコ良かったです。微笑みながらカルロスを脅す姿も余裕しゃくしゃくといった感じで非常に頼もしく、やはりカトリーヌはフランスに必要な人なんだと視聴者に強く印象付けたと思います。

いつも平気で嘘をついて人を騙しますが、8話のカトリーヌは真実しか話していなかったような気がしました。クロードに懺悔する時の表情にも本当に後悔していることや彼女への母としての愛情が滲んでいましたし、フランソワ毒殺を否定する時も、そんな疑いをかけられること自体辛くて耐えられないというような表情をしていたのが印象的でした。表情だけでカトリーヌは無実だという確信が持てる演技はさすがだと思います。

7話のカルロスとのSMシーンでは、ついその気になってやり過ぎてしまうところがカトリーヌらしくて笑えました。ミーガンの、真面目に演じているのにちょっとコミカルさが滲み出る独特の演技が好きです。一転、ナルシスに裏切られた時の表情は迫力満点で、今にもナルシスを刺し殺しそうな怒りと憎しみに満ちた眼差しをしていて、ローラがいまだにカトリーヌの復讐に怯えるのも納得の恐ろしさが感じられたのが良かったです。

6話冒頭の廃人のような眼差し、フランソワを愛していたと泣きだすメアリーを抱きしめた時の切なさと優しさに溢れた表情、ナルシスからすべての幸せを奪ってやると憎しみと嫉妬メラメラの生き生きとした姿、登場するたびに「同じ人なのかな」と思ってしまうくらい感情の起伏が激しいカトリーヌですが、全然違和感がなくてちゃんと1人の人間の心理として丁寧に演じ分けているところが素晴らしいです。

5話のメアリーに対する演技がどれも素晴らしかったです。フランソワの遺体から離れないメアリーを優しく抱き締めたり、自分のせいでフランソワが亡くなったと謝りにきたメアリーに「あなたを責める気はない」と告げたり、言葉にも表情にもメアリーを労わるような優しさが溢れていて、息子が命がけで愛し、また愛してくれた女性に対する敬意と感謝が感じられたのが良かったです。色々あったけど、義理の娘としてカトリーヌなりに愛情を持っていたんだなと感じられる良い演技だったと思います。

喚いて暴れて怒り狂ってるカトリーヌも怖いですが、妙に落ち着いて余裕のある微笑みを浮かべている今の大人しい姿もかなり恐ろしいです。これまでミーガンが捨て身の体を張った大熱演をしてきたおかげで、「絶対何か企んでる、絶対何かやらかす」と視聴者を不安にさせるドラマの良いスパイスになっていると思います。

３話のフランソワとの対面シーンが良かったです。涙を流しながら「理想の母親じゃなくてごめんなさい」と謝る眼差しにフランソワへの愛しかないというか、打算など一切ない、フランソワの母親として言葉をかけていることが伝わってきたのが印象的でした。冷酷だけど彼への愛情は本物だったんだなと感じられる、温かくて切ない良い演技だったと思います。

牢獄でボロボロな姿になっていても存在感抜群で、何をしでかすか分からない怖さを感じさせる演技はさすがだと思います。フランソワに会わせろと絶叫しながら牢の扉に頭を打ちつけて血だらけになる姿が印象的で、カトリーヌの執念深さをより際立たせた迫力満点の大熱演だったと思います。

シーズン2ではメアリーへの情を感じさせたりアンリや双子の亡霊を見て精神を病んだようになったりしていましたが、今シリーズではメアリーへの復讐や嫉妬に燃える悪全開のカトリーヌが復活してミーガン自身も生き生きと楽しそうに演じているように見えます。エリザベスに助言する時の企み顔がたまらないです。「絶対に生き延びてやる」という権力と生への強い執着が漂う逞しく勇ましい表情も魅力的だと思います。