高嶺の花

華道家の夫を持ちながら、その夫を裏切り、そして権力を得る為に自分の娘の好きな男性とも肉体関係になり、全く理解できませんでした。結局何がしたいのか、わかりません。それも全て、夫にコントロールされていたなんてとてもみじめな女性です。

本心を偽って何を考えているか分からない登場人物が多い中、自分の欲望に正直な姿は見ていて気持ち良かったです。したたかなんだけど決して下品にならず、女の欲望と名家の妻の品格のバランスを上手く保っていたところもさすがです。和服もよく似合っていて色気があり、美しかったです。

よくある強欲な後妻の役柄が、戸田菜穂にぴったりって感じです。思慮が浅くてヒステリックなキャラクターがよく出ています。程よい色っぽさも、石原さとみとは別のジャンルに仕上げていて熟女ぶりが素敵です。悪女役もこなす戸田菜穂ですが、このドラマでは怖い顔ですごんでも弱さが残る小悪党な感じを演じ分けていていいと思います。強いキャラの多いドラマなので、その中で右往左往する雰囲気もなんだか可愛いです。

ベテランの方なので安定の演技でとても安心感がありましたし、大人の女性の色っぽさが前面に出ていて素敵でした。女性らしくなで肩で、程よくふくよかなスタイルが垣間見られる入浴の場面が印象的です。1番驚いたのはお肌がツヤツヤでとても綺麗なことでした。

市松に邪険にされて「許さない」と怒りに燃える姿が、市松に向けたものだけでなく前妻やももへの嫉妬も混ざっているような女の情念や執念深さが滲み出ていたのが良かったと思います。ななを家元にするために何でもやるという覚悟が感じられ、これからの波乱の展開を予感させました。

撫で肩で和服がよく似合い、封筒に手を添えたり後れ毛を撫でつけたり、仕草一つ一つに色気と品があって美しいです。観客から喝采を浴びるももに向ける複雑そうな表情から、ももとの微妙な関係性と距離感が垣間見れたのも良かったです。