光る君へ

また周明に会えるとは思っていませんでした。すぐにあの頃のまひろと周明に戻るところがエモい！！まひろに今は誰もいないのかと探りを入れつつ自分のそばにいてほしいとも言えないまどろっこしいのが周明なんですよね。これからもそばにいてほしかったなー。

中国語の声調にもこだわった発音をしていたし、だいぶ練習をしたのだろうと思います。松下さんらしい柔らかさと、この役ならではの不穏さをうまく表現していたのではないでしょうか。なので松下さんの芝居に不満はありません。ただこのキャラの背景には不満があります。この当時、周明が抱いている国家観やそれによるアイデンティティクライシスみたいなものがあったとは考えられません。それは近代以降の発想です。歴史は逆算してはいけない。それをやると歴史物語ではなく、現代知識を持って転生するファンタジーと同じになる。まあともかく松下さんの芝居はグットです。

まひろに文を書けと迫るシーンは急に距離感がおかしくなりちょっと怖いなと思いました。それだけ必死だったのだとは思いますが少ししつこくて周明の魅力が半減。ちょっと好きだったとしても幻滅してしまいそう。もう少しガツガツしないでほしかったな。

衣装もよく似合っているし、言語も素人耳にはとても流暢に違和感なく聞こえて上手だし、登場からしっかり存在感を示していてとても良いと思います。まひろに思惑を見透かされていた時の少し動揺した感じや、そこから開き直って破片を手に脅す緊張感溢れるやりとりも、彼女に本気になりかけていた複雑な想いや、生きるために精一杯な様子が伝わってきて見応えがありました。

宋人スタイルが似合いすぎてびっくり。初見で日本人とわからなくても不思議ではないかもと説得力がありました。セリフは正解がわかりませんが綺麗に流暢に話されています。まひろと海岸でのシーンは美しすぎました。