対岸の家事〜これが、私の生きる道！〜

これだけイケメンだとそうそうそこら辺を歩いているとは思えないし普通の人を演じるのは難しいと思うのですが、堅物でちょっと抜けている中谷さんは新しいディーンさんを見せてくれたと思います。礼子さんへの応援垂れ幕を違ったタイミングで晴れやかな顔で広げちゃうところがチャーミングで好きでした。

現実に何事もこんなに理屈っぽくて融通の利かない人間なんて、エリートになれるわけはないんだけど、あえて極端にデフォルメすることで、問題の本質を際立たせようと設定されたキャラなのだろうと思います。

ディーンさの上手さは、こういう極端な人物が本当にいるかのように感じさせるところです。「正直不動産」とか「シャーロック」などもそうでした。

二枚目ぶり騙されますが、現実離れした役をうまく演じられる貴重な俳優だと思います。

詩穂と虎郎の喧嘩を聞きながらもどちらが悪いと決めつけず、二人ともに相手の昼間の努力を想像させる気づきを与えるところが中谷さんらしいなと思いました。俯瞰的で冷たすぎずよく見ているところは仕事ができそうなお役人を想像させました。

詩穂さんに靴下が左右違うことを指摘されてそれすら確認することができないポンコツ中谷さんがとても面白かったです。普段冷静沈着なだけにポンコツさが際立っていたし、ちょっとだけかわいくてレアな動物を見た気がしました。

いつも自分の思ったことを理路整然と言えちゃうし、少し鼻につくところもあるけれどだからと言って全てが順風満帆なわけじゃない。たまに見せる気弱なところが人間らしくていいなと思います。復帰に向けての不安、分かるなーと思っちゃいました。

正直演技が上手いかと言われたら微妙だけど、子育てを仕事並みに計画立てて実行して報告までしちゃうマメさと家の中のぐちゃぐちゃなやりっぱなしの家事が中谷さんの心のうちを存分に表していたので共感できました。少し空気を読まないマイウェイ感がちょうどよくイラッとしてよかったです。