リコカツ

「ゆるキャン」の千明役の印象が強かったので、こういう古風で「ザ・嫌な女」みたいな役も出来るということが嬉しい発見でした。咲への悪行ばかりがピックアップされがちだし実際上手かったけど、本業の自衛隊シーンもキビキビした無駄のない動きやキレが良く鋭い掛け声などで有能さを感じさせ、若いけど紘一の上官という設定に説得力があったところも良かったと思います。

咲に対して色々酷いことやらかして本当に嫌な女だなって思っていたけど、土下座して謝る姿は心から悔いて反省しているように見え、実はすごく不器用で生きるのが下手な子なんじゃないかなと一ノ瀬の見方が少し変わりました。真っすぐ過ぎるから想いが募ると視野も狭くなって結果、愚かな行動に出てしまう。でも酷いことをしたという自覚もあるし直接謝りにくる誠意と行動力もある。内面のアンバランスさや人間臭さを丁寧に演じているところがとても良かったです。まだ若いのに凄いな。もっと色んな役を見てみたいなと思わせてくれる女優さんだと思います。

離婚したと聞いたら休みの日にワンピース着て煮物持って訪ねてくる女。ホラーでしょ（笑）愚直に一生懸命、こんな女が旦那のそばにいたらめっちゃ怖い。ここまであからさまな女は珍しいけど男ってこういう怖い女、案外気づかないのがまた怖い。このドラマですごい印象残したね。次が楽しみだわ。

自衛隊の中でも紅一点というだけでなく、一之瀬さんは独特な存在感を発揮している。紘一に好意を持っているのはあきらかだが、紘一ではなく、咲に対して別れさせようとする発言を繰り返すところが憎い。煮物を持って、普段とは違う女性らしい姿をして紘一の実家まで押し掛けるところが女性の反感を買うが、意外なほど紘一の家族になじんでいるところが不思議だった。なのに紘一の気持は咲に向いたままで、はっきりと告白するかと思ったら「お慕いしています」という時代劇のような告白に驚いた。華々しさはないが、落ち着いたいい演技をする女優さんといった印象だった。

やってること全部、教科書通りの典型的な横恋慕女だけど安っぽく薄っぺらく見えないところが上手いなあって思います。あの独特の堅い話し方を、あそこまで違和感なく自分のものにしているところも凄い。「お慕いしています」なんて古風な告白も、咲を追いかける紘一を遮るという行為を含めて一ノ瀬らしさが全面に出ていて良かったです。家庭的で礼儀正しくて身なりも地味めで、正のような古風で気難しい年配男性にすぐ気に入られるところも説得力がありました。

まくしたてるような強い口調と「妻として失格」と見下してるような態度が咲への嫉妬丸出しでホント感じ悪かったです。自分の方が紘一のことを理解している・ふさわしいっていう思い込みの強さも感じられて、下手するとストーカー化しそうな怖さが滲み出てるところも良いですね。しつこくて手強そうだし、今後も何か仕掛けてきそうでハラハラさせられます。

演技というか、演出やカット割りが少しわざとらしい感じが残念です。取って付けたような意地悪を役柄としては絶対にしてはいけない方法でやってしまうのは、とてもがっかりでした。演じる役の背景などを少し考えた方が良いのではないかと感じました。

家庭料理持ってきてマウント取ったり、咲が傍にいるのに「新婚みたいですね」って言ったり、寝室に勝手に入るし「奥さんはちゃんと尽くしてくれてるのか」なんて言い出したり、絵に描いたような嫌な女っぷりがすごく上手かったです。自分の方が紘一を理解しているっていう思い込み強そうなところも怖い。コメディ演技も出来るし、こういう湿度高めの女性役も出来て、若いのに演技の幅が広くて凄いです。

紘一の新婚旅行の話を聞いた時の動揺した様子や、悩み相談を断られた時のショックを隠しきれない表情など、紘一への気持ちがさらに分かりやすく表に出てきているのが印象的でした。切なげというよりは咲への嫉妬の方が強く感じられて執念深いというか、ジトっとした女の情念のようなものが滲み出ているところが良い感じに怖かったです。キャンプでのことを謝るシーンも、自分が悪く思われないように、紘一に嫌われないようにという保身が全面に出ているように見え、全く罪悪感が感じられなかったところも良かったと思います。

体育会系のキビキビした子かと思いきや、陰湿で嫉妬深い一面があってびっくり。騙して連れ出して山中に置き去りにするって、それを躊躇なく実行するところも、置き去りにした後メンバーに合流して普通に過ごしてるところもヤバい。シレっと何事もなかったような顔をしてるところが怖くて、単なる紘一に憧れる後輩ではない厄介さを感じさせて良かったと思います。前日にゆるキャンの大垣を見てるから、そのキャラクターの違いに毎回驚かされます。

「ゆるキャン」の千明役の方ですよね。見た目も演技もガラッと違うからお名前見るまで分かりませんでした。演じ分けがすごい。お腹から声を出しているのが伝わってくる大きくハキハキとした口調、無駄のないキビキビした動きが自衛隊員らしかったです。紘一に「女性として見たことはない」と言われた時や咲の話が出た時の複雑そうな表情が印象的で、言葉に出さなくても紘一への憧れや恋心が伝わってきたのも良かったと思います。