ミリオンジョー

確固たる意志を持っているように見えるものの、つねに迷ってく苦しんで判断を鈍らせている様子が森安にも悟られたようだった。まさか、逃走中に裏切られるという展開になるとは意外過ぎる。そして、作品を完結させる前に逃げるのが意外だった。

借金があるからとは言え、まさか最後の最後で呉井達をあんな形で裏切るとは思わなかった…。台本を奪われたり、岸本からお金を前借りしている恩義もあるのにね。森安の誘いに乗るのは意外すぎたよ。何より作品はどうするのか？

家庭のことでひとり苦悩する様子や岸本にすらお金を前借りする姿はとにかく心配しかない。そして、自分の不注意でミリオンジョーの脚本を奪われるという窮地を乗り切れるのか？痛恨のミスが今後の展開を左右するのは間違いないけど、普段は慎重なだけに意外な雑さが出たのは逆に人間らしくもあったね。

寺師は成りすましチームの中で、一番普通の感覚を持ち合わせた人です。でも借金がたくさんあったり、佐藤に中途半端な優しさをかけて窮地においやられたり、きっと意志が弱い人間なんだと思います。普通の中のダメな感じを萩原さんは上手に演じられていると感じました。

1990年代のドラマ「若者のすべて」で萩原聖人が、共演した木村拓哉に対し「アイドルがやる演技なんて・・・」という言い方をして、とにかくアイドルが役者をやるというか、木村を嫌っていました。木村もそんな萩原を「麻雀雑誌ばかり読みやがって」と嫌っており、しばらく2人は共演NGでした。そんなふうにアイドル役者が嫌いだった萩原が、今回同じジャニーズ事務所のキスマイ北山と組んでミリオンジョーをやっており、2人は良い化学反応を起こしているので驚いているのと同時に大変嬉しく思っています。北山くんが想像を超えた演技力だったのもありますが、迷いながらも呉井に流され苦悩する寺師役をよく演じているし、ドラマもこの秋一番ハラハラして面白いです。萩原聖人の年の功が出ている感じです。

呉井とは全く異なる人間臭さ溢れる現場叩き上げな職人ぽさを醸す様子はまさに背中で語る男。借金のこともありながら作品へのちょっと異常なくらいの愛情は真加田ゆずり。それにしても、初回から真加田の死を隠蔽する本当の目的は何なのか知りたいね。

コンビを組むことになった呉井とはタイプの違う職人気質な人柄が行動や考え方の隅々まで染み付いているよね。作品への愛情は当然誰よりもあるけれど次の一手に踏み込めなくて苦心する様子や真加田の残した設定集を読んでゲラゲラ笑うシーンは人間味に溢れていて良かった！

作り手の苦しみありきで端から呉井のことも少し疑っているような節も感じられたけど、このタッグは熱い！苦心しながら毎週の連載を乗り切る様子はまさにタイトロープ。職人気質な人間像や作品のクオリティを求め続ける様子は物語の本質に迫るものがあるね。

｢お前、ミリオンジョーなめてないか？｣と呉井に詰め寄る職人かたぎな面もありつつ、新作に苦悩するストイックさも持ち味が出ていて栄えた。また、闇に葬ってしまった恩師に対しても後悔の念で自責する場面もあり、行くも戻るも苦しい心境は誰にも言えない孤独さがあるね。

超変わり者の人気漫画家に支える敏腕アシスタントとしての職人気質な面と同時に作品への愛情とまた別の感情があるのかな？そんな疑問を抱かせるような行動はこれからも呉井ともめそうな予感だね。目的は地位かお金か？これからの動向に注目したい人物であることは間違いない！

ミリオンジョーの原作者である真加田先生のチーフ役が、かつて「アイドルが役者なんかやってんじゃねぇよ」と「若者のすべて」で木村拓哉を嫌っていた萩原聖人が、キスマイの北山とコンビを組んでいることに驚き、また演技もぎこちなくなかったので、彼も大人になってそのあたりのわだかまりが取れたのだろうと感じました。自分の師匠の死よりも自分が守ってきたと言っていい「ミリオンジョー」の一番盛り上がっている今を維持しようとする曲がった性根は、萩原聖人が演じるとしっくりきました。