監査役 野崎修平

新しく来た支店長役の松嶋菜々子にちょっと嫉妬しているところが可愛くて好感を持つことが出来ます。織田裕二さんになんとなく好意を抱いていることもその演技からわかります。控えめながらも意思の強さが見え隠れしています。

穏やかで温かみのある話し方やお茶や資料の丁寧な差し出し方から、真面目で裏がない吉野の人間性が感じられ、本心から野崎を尊敬していることが伝わってきます。吉野の素朴な雰囲気が、都会的でしたたかな立川との対比になっているところも面白いと思います。

6話で野崎と立川が話しているシーンの演技が良かったです。見るからに焼きもちを妬いているなという分かりやすくむくれた表情が可愛らしく、2人の会話に合わせてちょっと不機嫌になったり笑顔になったりと、メインで映っているわけではないのにクルクル表情を変えて吉野になりきっているところに好感が持てました。

最終回で野崎に「ありがとう」と言われて握手をするシーンが印象的でした。涙を必死でこらえている表情が野崎への強い尊敬の念と無念さを感じさせ、思わずもらい泣きしてしまいました。両手でギュッと強く握る握手も野崎への感謝や労いの気持ちが感じられて良かったです。

陰謀や放火、暴力シーンなど、観ていて疲れるシーンが多いドラマですが、瀧本さんのほんわかとした笑顔と穏やかな雰囲気が緊張感をほぐしてくれて良い存在感を発揮していると思います。7話で野崎が買ってきた肉まんを嬉しそうに頬張る姿が、吉野の飾らない素朴さを感じさせて良かったと思います。

3話で祥子と野崎に焼きもちを妬いているシーンが可愛らしくて良かったです。野崎が敵ばかりで観ていてハラハラ・モヤモヤした気持ちになってしまうんですが、こんなふうに嫉妬してしまうくらい尊敬して慕ってくれる子がいるというのはホッとして気持ちが安らぎますし、観ている側も良い感じに力が抜けてドラマが観やすくなると思います。

瀧本さんが持つ真面目で誠実そうな雰囲気が役に合っていると思います。野崎の周りが敵だらけなので、瀧本さんのおっとりした喋り方や柔らかい笑顔を見るとホッとします。秘書らしい丁寧な言葉遣いも自然にこなしていて「言わされてる感」がないのが良いですね。