私の知らない私

警察と共に芽衣を助けにくるシーン、無事だった芽衣を心底ホッとしたような、泣きそうな顔で抱き締める姿が芽衣への想いの強さを感じさせました。過去も今も「好き」って口には出さないけど、表情や視線、佇まいから芽衣を大切に想う気持ちがちゃんと伝わってくるところも良かったと思います。

芽衣を捜している時の必死な表情が、龍之介の心配と不安と焦りを感じさせて、見ているこちらまで胸が苦しくなりました。好きとか愛してるって言葉がなくても芽衣のことが本当に大切なんだなって伝わってくる。佐竹や西島の元同僚に会いに行ったり、西島が売却した車を地道に捜し当てたり、真実を明らかにすることへの執念と根性も凄かったし、その原動力になっているのが芽衣を信じるっていう気持ちの強さからくるものだって伝わってくるのも良かったです。

目がもう芽衣のことを好きだって言っちゃってるんだよね。敵視していたはずなのにいつのまにか芽衣にぞっこんじゃん、でもそこまでの経緯がちゃんとあるから納得できます。ただ芽衣の魅力がちょっと分からないんだけどね。

芽衣に向ける眼差しや口調に愛しさや切なさが溢れていて、見ているこちらまで辛く苦しくなってしまう。「大事な大事な自慢の兄貴だった」っていう言葉にも思いが強く込められていて、兄を慕う気持ちと喪失感、悲しみが伝わってきて胸にくるものがありました。表情や声のトーンの微妙な変化で台詞以上に役の心情を表現するのがとても上手い方だなと感じました。

学生時代の回想シーン、芽衣を見つめる眼差しや笑顔を見た時の表情に彼女への恋心が滲んでいるのが良いですね。他のドラマでも思ったけど、台詞がなくてもちゃんと想いが伝わってくる、恋する人の表情がすごく上手い。熱烈なというより、ほんのりとした淡い初恋っていう感じがするところも微笑ましくて良かったと思います。

芽衣の傍にいて一緒に動いてくれて、ものすごく頼もしくて心強い。鞄を手渡してあげたり、さりげなく背中に手をやってエスコートしたり、芽衣に向ける表情が穏やかで優しかったり、何気ない仕草や眼差しから彼女を大切に思う気持ちが伝わってくるのも良かった。「最後は自分を優先して」と真実を掴むことより芽衣自身の無事を最優先するところも龍之介の心の変化が伝わってきて、空港まで駆けつける急展開に説得力が感じられました。

終盤の芽衣とのシーン、「ここからです」「大丈夫です、一人じゃありません」って励ます言葉が、芽衣だけではなく自分自身にも言い聞かせて鼓舞しているようで、絶対に真実を突き止めるんだという相沢の覚悟が感じられて良かったです。優しく抱き寄せるのも、恋愛感情とも友情とも違うけど、辛そうな芽衣を労わりたいっていう相沢の優しさが伝わってきて良かったと思います。

翠の父親に彼女を追い詰めないよう忠告したり、佐竹のことも調べ上げて芽衣にカウンセリングを受けないよう連絡をしたり、行動的で考え方もまともで信頼出来て、すごく頼もしい。兄の死の真実が知りたいという切実な思いがその一生懸命な姿から伝わってくるのも良かったです。

ちゃんと自分の目で見て調査しようとスーパーに行く芽衣に同行したり、父の不倫話を「まだそうとは限らない」とフォローしたり、芽衣のお客様に寄り添った誠実な仕事ぶりを見て心が動かされているような表情になったり、相沢の心の動きを表情や会話の間、声音の微妙な変化で丁寧に表現していて、終盤の「羽田さんはそんなことしない」と翠と決別する展開に説得力があったのが良かった。仲間というより協力者って感じの近すぎない距離感も良いと思います。

翠の言葉をそのまま鵜呑みにするのではなく、自分が見て感じた芽衣への印象を信じて翠を疑い出す姿が頼もしかったです。１話より柔らかくなった声のトーンや芽衣に向ける表情も、相沢の心情の変化が感じられて良かったです。絶対信用出来るっていう存在が皆無な状態でハラハラしっぱなしなので、相沢が味方になってくれたらめちゃくちゃ心強いなって思います。

芽衣を追い込むけど、仕事でトラブルになった時は解決策を提案したり、スタッフに嫌味を言われてる時も気にするように芽衣を見ていたり、人殺しと責めるわりに警察には連絡しなかったり、相沢の中で「この人が本当にそんなことするんだろうか」という疑惑があるのかな、芽衣が犯人だって確信が持てないのかなと感じられる演技が良かったです。回想シーンで芽衣の後ろ姿を見つめる表情も、憧れの人を見るような初々しさがあって印象に残りました。

芽衣を人殺し呼ばわりする時の憎悪が滲む眼差しや、芽衣の記憶が戻ったわけではないと知った時の少し落胆したような表情、責めるような口調、ドラマの急展開のきっかけになる演技が印象的でとても良かったと思います。態度も言動も芽衣への敵意を感じるけど、嘘つきが多そうな登場人物の中で相沢だけは本音を語ってそうだな、芽衣に向ける感情に嘘がなさそうだなと伝わってくるところも良かったです。